こんばんは。

人の人生を狂わす「遺言状」。

私の知り合いの行政書士さんが
「遺言状」のあるなしで、大事な遺族に悲劇が起こるので、生前にキチンと書いておきましょう、ということを言っておられます。

上杉謙信は、立派な武将でしたが、
後継者を決めてなかったために、死後、甥と養子の間で「御館の乱」という悲劇の戦さが起こりました。

江戸川乱歩、原作者はスカーレットですが、
乱歩がなぜ、この作品に惚れ込んだか?

私は二幕目の悲劇「エレベーター密室殺人トリック」の斬新さにあると思うのです。

まず、エレベーター内の、というところが、すでに新しいです。
古典作品として、画期的でした。

私は、この小説で、最も真剣に考えたのが、
車椅子の被害者以外、狭くて入れないエレベータの中で、どうやって、殺人を実行したのか、
その問題の不可解さにハマってしまいました。

会社やデパートのエレベーターではありません。
家庭用エレベータですから、とにかく狭い。
3階でまず、健作は義妹に手伝ってもらって車椅子で中に入ります。1階ボタンを押してドアを閉めます。
1階に着きます。
電話を受けた森川弁護士が新しい遺言状作りのお手伝いをするため1階のエレベータ乗り場で待っています。
3階から降りてきたエレベーターのドアが開きます。
首をナイフで刺されて死んでいました。
むろん、被害者以外に中に誰もいません。隠れるのは不可能です。車椅子だけでいっぱいになるからです。

一体、どうやって?

最初から殺されていたんでしょ?
違います。
中の人がボタンを押さないとエレベータのドアは閉まらない設計です。
つまり、3階を出発した時は完全に生きていたのです。ドアが閉まって、移動し、開くまでの間に死んだのです。
途中、例えば2階で開いたということもありません。ノンストップで1階に向かったのは、明らかです。

このエレベータは作動中、ガーガー音を立てるのです。止まったり異変があれば音でわかります。

当時、考えに考えて眠れなくなりました。
算数の問題のほうがマシなくらいに難しい。
当時の関係者のいた場所が大事だと思いました。
それが何かトリックに関係あると思ったからです。
見事に外れました。(笑)