こんばんは。

聞くところによると、昨日、松本清張の
「共犯者」を放送してたらしいです。
祭日の昼間ということは、再放送だと思います。

江戸川乱歩は、松本清張を知らないと思いますが、清張は当然乱歩の名前を知ってたはず。
読んだでしょうか?

清張の小説には、少しも乱歩らしい部分がありません。
美青年なんて出さないだろうし、(出なかったこともないですが)、怪奇、エロ、グロなし。
同性愛、変装、見世物小屋もなし。身体障害もなし。誇大妄想もなし。

共通点は、文章が読みやすい、
ジャンルの幅が広い、
短編と長編の量のバランスが取れている、
タイトルが印象的

それ以外は逆に、まったく違うということ。

舞台は、乱歩はほとんどが東京都心部。

清張は、都心、都下以外に、地方都市、マイナーど田舎、温泉地帯、というふうに全国に散在し、同じ話でもコロコロ舞台が移動します。

乱歩は、ワンパターン。
話が、一部分がソックリ別の作品から引っ張ってきてると思うくらい、類似商品が多い。
で、殺人事件の場合、例外なく、共犯者が存在しています。
単独犯ゼロ。十字路も例外ではありません。

犯人が何から何まで独りでやった犯罪は、
ほぼないです。
協力者が必ずいます。
全作品となると、これは考えものですね。

「十字路」ですが、これは、異色作です。
なぜなら、どの作品にも似ていないからです。
違和感を感じたくらい、
乱歩らしさがあまりないです。いい意味で。

ちなみに「三角館の恐怖」も、類似商品がありません。それもそのはず、これは、ロジャー・スカーレットというアメリカの作家の作品を、乱歩がエラく気に入って、翻訳し、日本版にアレンジしたからです。
原作は「エンジェル家の殺人」。
どおりで、乱歩にしては、優秀すぎる作品だと思いました(笑)。
ポプラ社の少年シリーズで、1番最後のナンバーです。
「緑衣の鬼」も、イーデン・フィルポッツというアメリカの🇺🇸作家の作品です。
「赤毛のレドメイン家」です。
古典の傑作なので、
聞いた事のある人もいるのでは?

なあに、ただ、赤から緑に変わっただけのこと。

面白かったけど、「三角館‥」のほうがケタ違いに優秀。


「十字路」は、
作品構成が、倒叙という、犯人目線で描かれています。刑事コロンボといえば、わかりますか?


最初から、犯人が、殺人をやってのけることから始まります。
捕まりたくないので、計画・実行は慎重です。

人間のやることですから、完璧というわけにはいきません。
実行は完璧でも、どこかで天の配剤とやらが働いたりするものです。

予想外のことが起きます。

車に死体を載せて、捨てに行きます。
問題の交差点で、犯人がわずかな時間、
運転席を離れた時、重傷を負った全然関係ない人が間違ってその車内に入り込み、死んでしまいます。

目的地に着いてから、犯人は死体が増えたことに仰天します。

単に死体が一つから二つになっただけのこと。
そう犯人は、自分に言い聞かせ、死体を遺棄します。

このあたりが実にサスペンス満点です。

ポプラ社にしては、かなりオトナ向け。

しかも、いつもの怪奇趣味はカゲをひそめ、リアルに徹しているのです。

逆に、実に、松本清張っぽいです。