こんばんは。

松本清張ミステリー案内人です。

ここ2、3日は、江戸川乱歩ミステリーの話題が多いです。
江戸川乱歩というと懐かしいです。
推理小説としての出来には、賛否両論あると思います。

なにしろ、ワンパターンです。

すごい傑作も、何かに似ているんです。
単独ですごいというのは少ない。
唯一、どれにも似ていないと言えそうなのは、
「十字路」。

呪いの指紋(悪魔の紋章)、暗黒星、
地獄の仮面( 吸血鬼)に共通するのは、
連続殺人事件と、動機が復讐であること。

地獄の仮面こと「吸血鬼」は、
死ぬ人の数が多く、動機が見えにくいので、怖さが際立っています。

さて、人気アニメ「ルパン三世」の映画
「カリオストロの城」がありますが、これが
乱歩のポプラ社「時計塔の秘密」に似ているといわれています。
はっきり言うとパクったという噂ですね。

時計塔の秘密は、表紙がいいです。
ビッグな時計塔をバックに、ドレスを着た美女がシンデレラのごとく、駆け出しているシーンが描かれています。

私は「カリオストロの城」の方は詳しくないですが、「時計塔の秘密」なら十分知っております。

ある資産家が、自分の莫大な財産を隠すため時計塔を作り、その中に迷路をこしらえます。
とても複雑な迷路で、作者ですら迷うほど。
迷ったら最後、出られません。
そこで、宝物を無事に手に入れられるよう暗号を作ります。
この暗号解読が生還へのパスポート。

で、この資産家は、アホなのか、結局自分の迷路で迷って、餓死してしまいます。
遺族たちは、財産欲しさに時計塔の迷路に挑戦する、という怪奇性たっぷりの傑作です。

「カリオストロの城」に詳しいかたへ。
シナリオは酷似しているでしょうか?

少年向けのタイトルは「時計塔の秘密」なのですが、
大人版は「幽霊塔」。

これも、「吸血鬼」同様、タイトルがあっけなさすぎますね。抽象的で迫力がない。
さらに、全く違う作品で「幽鬼の塔」というのがあって、ややこしいです。

少年もののタイトルの方が秀逸ですね。

時計塔の秘密では、私は、「暗号」に惹かれました。
推理小説というより、冒険小説、サスペンス小説です。

この、二十面相がまったく出ないポプラ社のジュニアシリーズは
他に
「魔術師」「白い羽の謎」「赤い幼虫」
「黄金仮面」「大暗室」「一寸法師」
「幽鬼の塔」「黒蜥蜴」
「緑衣の鬼」「影男」「地獄の道化師」
「十字路」「三角館の恐怖」
があります。

サスペンスあり、本格あり、取るに足りないオカルトあり、
外国作品のアレンジあり、ピカレスクロマンあり、かわいそうな話あり、女賊もの、倒叙ものあり‥‥。

で、この中には怪盗紳士アルセーヌ・ルパン対名探偵明智小五郎の話があります。

どの作品かわかりますか?

もちろん、明智が勝つんですよ。
主役ですから、当然です。
陰でモーリス・ルブランが、引き立て役にされたと嘆いていることでしょう。