こんばんは。

昨日は、甲子園のウワサの"魔物"の話が出ましたが、何も甲子園に限ったものではないですね。

実は、松本清張氏の、短編こそ、
心に潜むワナ、魔物みたいな話が多いです。

「黒い画集」に収められた「遭難」も、
後半、油断してしまいます。油断は恐ろしい。
まさに2アウトランナー無しの有頂天の時です。

魔物って、何かを達成したあと安心し、心に真空ができた時にやってくるようです。

車の運転も、危ない車をかわして、やれやれという時に一番事故を起こしやすい。
だから、野球だと、最終イニングツーアウトで、みんなが安心してしまうと、意外な事が起きたりするんですね。

81'池田高校の水野も、最大のライバルをほふって、連覇への大手をかけた時、インタビューで油断しました。
相手のPL学園に対して、もう勝ったかのような発言をしてしまいました。結果、大敗しました。

さて、今日は、
ミステリー問題の作り方、です。
こないだ、メトロポリタンホテルのミステリーナイトに参加したという話をしました。
殺人の起こるミステリー劇を見たあと、証拠を集めて、犯人を推理します。

去年初参加して、色々勉強になりました。
かなり、「反省」したはずでしたが、推理力が激減。
なんていうか、証拠を集めたものの、去年ほどには、真剣に犯人を推理することができませんでした。

ざっくり言うと、事件が魅力的じゃなかったんですよね。
予告のチラシのイメージと、かなり食い違ったことが原因です。

タイトルは「人気推理作家失踪事件」。
結局、人気作家は誰も登場せず、事件とは直接関係なく、
ただ、その人気作家を登場人物にして、映画を撮るというだけでした。島には招待されたんですが、舞台上、ホンモノを出せないから、誘拐ということにしたんですね。
作家役の俳優たちとスタッフがある島のオーナーの、いわくある図書室で撮影。
その撮影中に殺人が起きるというわけです。


別に人気推理作家なんて、いらないじゃん。
結局、無関係な関係者なので。

チラシだけ、先走り。
タイトルだけ、一人歩き。
イベントの性質上、それはわかるんですけど、



松本清張氏にも、たま〜に、タイトルだけ妙に先走っている作品があります。

例えば
「Dの複合」。
あなたはこのタイトルだけ聞いて、どのような印象を持ったでしょうか?

私は、滅茶滅茶カッコいいと思いました。
期待過剰になりました。
なんか「Yの悲劇」みたい。
早く「D」よ、出ろ、
と思いました。

それが‥内容とタイトルが一致しなかったんですよ。
無関係じゃないんですけど、
Dは、弱かったですね。

逆に、タイトルが違っていれば、これは大傑作ですね。
話自体はよかったので。

「ミステリーナイト」に話を戻しますと、
これは、まずタイトルだけわざと抽象的なものを作っておいて、発表。
あとで細かくディテールを作る。

話が物足りない正体は、このタイトル先走りにありました。

なので、タイトルに振り回されるとガッカリします。
あと、問題のための問題すぎる。
東大の入試問題のようにガチガチ過ぎてる印象。

推理小説を読む醍醐味って、犯人も知りたいけど、究極は、動機を知りたいんですよね。