折角、親孝行のつもりで、セッティングした、「高浜長寿センター・やすらぎ苑」
雪が散らつき始めた道のりを・・・ろくに寝ていない状態で、「両親が、楽しく過ごしてくれるだろう。」と思う一心で。責任感で、連れて行ったのに。又裏切られてしまった。
「又」とは?・・・
酒癖の悪い父が、又、人様に迷惑を掛けてしまったのだ。
昼過ぎ着いて、先にお風呂に入るつもりで、入館したのに、母親が、「お風呂は、帰りに入るよ。」って。「ええ〜?」と思ったけど、1時からのカラオケの申し込みを、私がやってあげなければ。と思ったから、我慢していました。
「我慢」とは?・・・
前日、お風呂に入ってないし、行ってすぐ、お風呂に入るつもりだったで、家で念入りにドライヤーしてないから、髪型が決まっていなかったのです。
少々待ってカラオケタイムに入りましたが、行ってすぐくらいに、「帰りたい。」みたいな事を父が言い始めたのでした。
朝は、るんるん気分で、まるで、遠足に行く幼稚園か、小学生みたいに、無邪気に、鼻唄を唄っていたのに。
「じゃあ、1曲唄ったら、(父親を吉井の家に)送って来ようか?」と、母に言うと、「そうだね。」って。ところが、あとで、「折角来たんだから、最後まで居ますよ。」と言い出して。コロコロ変わる父。
父親に、「お父さん、何唄う?」と聞いても、最近は、カラオケ唄ってないから、タイトルが浮かばないみたいなんです。
「じゃあ、なみだ船が良いよ。」と言って、入れてあげたけど、「どう云う歌だっけ?」なんて聞くし。
たまに、カラオケさせなきゃダメだな。と思いましたが、歌が掛かると、ちゃんと、唄えました。
でも、2曲目の「旅烏」(五木ひろし)の後、3曲目の「湯島の白梅」は、リズムに乗り切れず、しかも、カラオケの設定キィー以外の音で歌い出し、こんな音痴の父親の歌を聴いたのは、初めてでした。
私の隣の方が、「この人は、音痴だね〜。こんな下手なの、聞いた事がないよ。」なんて言ったほど。きっと、自分で思っていた設定キィと、違っていたのでしょう。
歌は、この後、順番で、4曲目「赤城の子守唄」5曲目「落ち葉しぐれ」と、進みましたが、途中、どう云う訳か、広間を抜け出して、受付へ行って、トラブってる様子で、母親が、慌てた声で、「ちょっと、お父さんのとこ、行ってくれる?」 と私を呼びました。「まさか。」と思っていましたが、その「まさか」が、起こってしまったのでした。
最初、「名刺」が何とかと、騒いでいて、何、言ってるのか?内容が分からなかったのですが、父親は、施設の名刺が、欲しくて、貰いに行ったみたいです。
女性職員に、「ない。」と言われて、カチンときて、「名刺のない施設なんて、何処にもありませんよ。」と怒鳴る父。そうしたら、女性職員が、手書きで、書き始めて。更に、「そんな、書いてるなんて、ずるですよ。」と、父。
そこへ、館長さんが、奥のデスクから、見るに見かねて立ち上がって、「じゃあ、貴方の名刺を、先に出して下さいよ。」と熱り(いきり)立ち、館長さんは、自分の名刺を差し出しました。父は、「今日は、娘の運転だから、(身分証明書である免許証)名刺は、置いて来ちゃってるから、ありませんよ。」
私と母親は、慌てて、「お父さん、帰ろう。」と、引っ張って、元居た場所(広間)に、戻りました。「名刺もないなんて、ダメだ!この施設は!」と、ぶつぶつ大きな声で言いながら、父は、元居た場所に戻りました。
どうやら、私の推察だと、父の言ってる「名刺」とは、「施設のパンフレット」だと思うんですよね。私が運転する車で、隣には母が乗り、父は、後部座席に乗っていた為、着いた場所が、分からなかったみたいです。だから、パンフレットを貰って、場所を確かめたかったんだと、思うんです。前に幾度か、来たはずなんですけど、暫くぶりだったから、思い出すのに、時間が掛かったみたいです。
広間で、座っていても、なにやら、ぶつくさ、言っていました。聞くに忍びない言葉も、出始めていたので、こりゃあ、そろそろ、連れて帰った方が良いな。と思ったので、退散致しました。
「お前、館長さんに、声掛けて行った方が良いよ。謝った方が良いよ。」母親に、言われるまでもなく、そうするつもりでいました。とかく、母親は、幾つになっても、娘は、子供だと思う傾向があります。
母親は、「うちのお父さんが、すみません。本当は、お風呂入って帰るつもりで、ちゃんと、お風呂道具、持って来たんですけど、帰ります。今度来る時は、お父さん、連れて来ないから。」と、謝っていました。
やっぱり、先にお風呂、入れば良かったな。父を連れて行かなくちゃ、良かったな。
いつも、ひとりで、お留守番の父。いつも、母から、小遣いを貰えなくて淋しいと語る父。身体を気遣う母から、アルコール制限を強いられている父。たまには、父に、息抜きを。たまには、父に、思い切り、好きな歌を唄わせて、思い切り、好きなお酒を、飲ませてやりたい。と思う娘である私の気持ちが、いつも、踏みじられる。
とかく酒飲みは、人格が変わって、周りの人まで、巻き込んで、不幸にしてしまう。父親が家で飲んで、暴れた時は、暫く、車に寝泊まりした事もある。家を飛び出して、人生の歯車が、狂ってしまった事も。それでも、嫌いになる訳にはいかない理由、突き放してしまう訳にはいかない理由は、血の繋がりと、この世に生み出してくれた、育ててくれた恩があるからです。
折角、館長さんが、「夜の糸ぐるま」を唄っている私に、にこにこしながら、花束を持って来て、くれたのに。
酒を飲んで、酒に飲まれて、場をぶち壊しなんです。
先日、ご一緒させて頂いた真梨子さん、深澤さん。外山さんや、かべさんも、雪の為、仕事が出来なくなったと来たから、なから、賑やかでした。私は眠いから、これで寝ます。


