いつも、強気で、母親と、口争いをしている父親の目に、涙が光った。
「あんな女は殺したい。交通事故でも起こして、俺だけ助かって、あいつだけ、死なせてやりたい。日記に書いた事がありますけどね。」
「里子さんを否定すると、子供達の、美惠子(私)と裕幸(弟)を否定する事になりますからね。子供達を、産んでくれた人ですからね。私は否定しないで、生きて来ましたよ。」
「いつか、こんな日が来るとは、思っていたけどね。あいつの病室にいても、う〜ん、うん。と、言ってるだけで、(脳梗塞の為)会話が成り立たない。いつまで居ても、仕方ないから、俺は行くよ。と言って、出て来たけれど、涙が出ますね。」
父親が、居間で、⇧そんな、独り言を言っていた。私も悲しくて仕方がない。気持ちを誤魔化す為に、「な〜みだのぉ〜お・おおおおおぉ〜」と、北島三郎さんの「なみだ船」の一節を小声で歌い出した。座椅子に腰掛けながら、下向きに顔を伏せて、横向き加減で。ひとりで泣きたい父の気持ちを察して、私は2階の自室に上がって来ました。私だって、ひとりになったら、涙が止まらない。
母親の、あんな姿は、見たくない。夢なら覚めてほしい。私は自分のストレスを解消する為に、母親を心配させる事ばかりして来た。心の中に仕舞っておけば良い事まで、吐き出して来た。なんで、余計な心配させる事ばかり、話してしまったんだろうな。こんな事になろうとは。
母親は、私の身代わりに、こんな姿になってしまったんだと、思った。私が、辛い出来事がある度に、「お母さんは、お前の味方だから、自分が悪くなくても、相手を立てて、我慢して、頑張りな。」そうに言って、励ましてくれた。
宮古保健所から、不吉な書類が届いていた。貧乏神からの申請によって、もたらされた書類だ。この前、生ゴミと一緒に、捨ててやった。今日は、ビリビリに破いて捨ててやった。こんな書類が届くから、母親は、精神的に、益々弱ってしまったんだ!明日、電話で、講義してやろう。