手術室当日。
生理痛のような痛みはあるものの
新生児室に並ぶ新生児たちに勇気付けられて手術室に入ったものの…。
やっぱり台に登ると今まで必死に堪えていた涙が止まらなくなりました。
この時は、もう恐怖なんて一ミリもなくて。
ただただお別れが寂しい。
もういっそのこと麻酔から覚めなければいいや。
とまで思っていました。
お腹に手を当てて心の中で、謝罪とお別れをしました。
悲しさと申し訳無さで放心状態で涙だけ流れていきました。
看護婦さんの「ちょっと痛いですよ〜」という声にいつもなら身構えて、痛いな早く終わって欲しいななんて思う注射なんかもこの時は全く痛みを感じませんでした。
何度か「ちょっと痛いですよ〜」と言われましたが痛みは全く覚えてません。
思い出せるのは注射を二回くらいされたっけ?くらいです。
お腹に手を当てて泣いてる私に看護婦さんはテイシュで涙を拭いてくれました。
手術室に先生が入ってきた瞬間、もうお別れなんだなと思い余計涙が溢れました。
すぐに麻酔が入れられ、「数を数えてね」といわれ「1、2、3、4、5」あたりまでは視界もはっきりしていました。
「7」あたりから視界がぐにゃぐにゃしだして8を数えたとこまでしか記憶にありません。
ほんの一瞬で目が覚めました。
優しく肩を叩かれ、看護婦さんの「終わりましたよ。」との声に驚きました。
寝ていたという感覚もなく。
気を失っていた感覚もなく。
「8」と言って瞬きをしたらもう終わっていたという感覚です。
想像していた痛みなんか何もありませんでした。
生理痛のような痛みはあるものの
数日前から続く腹痛が大分緩和されたので
早く手術した方がいい理由がわかりました。
呆気なさすぎるくらいで赤ちゃんに申し訳なくなりました。
ただ、麻酔が効いてるせいか少し頭を動かすだけでグラグラしました。
朦朧とする意識の中で看護婦さん二人掛りで抱えられて車椅子に乗せられて、ベットで二時間ほど休むように言われました。
この時のことは、意識が朦朧としていたせいか思い出そうとしても映像がアニメのようになっていてその時の景色なんかははっきり思い出せません。
ベットに横になり30分ほどは少し動くだけでグラグラしました。
少し落ち着いてきた頃に何か口に入れないとと思って用意しておいたウィダーとジュースの口にしました。
この時思ったことは「手術室ってこんなにも呆気ないんだ」ということです。
中絶を繰り返す人に罪の意識なんかないだろうけれど自分だって手術で痛い思いするのになぜ繰り返すのか?
ずっと疑問でした。
でもこのときわかったんです。
「何にも痛くないからなんだな」と「だから繰り返すんだろうな」と考えます。
赤ちゃんは亡くなるときどれだけ苦しかったかわからない。
でも自分はほとんど手術の苦しみもなく平然とウィダーとジュースなんか口にしてる。
そう思うと赤ちゃんに対してすごく申し訳無く思いました。
産んであげられないだけでなくて。
あなたにだけ想像すらできない苦しみを与えたのに呑気にベビーグッズ選んでたり、自分だけ手術怖がったり、呑気に術後食事なんかしててごめんなさい。