見た日 : 2024.4.18.
見た場所 : 東京・銀座 観世能楽堂
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■解説 …… 野村萬斎
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すぐ次が出番なのにと少々心配した。当人は飄々と解説していた。
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興が乗ったのか、15分の予定が5分ほど延びた。
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次の「鮒」の解説を最後に持ってきたのはうまい導入になっていたと思う。
■小舞「鮒」
近江国の白鬚(しらひげ)明神の修復のための勧進(社寺や橋梁などの造営・修復のために衆庶より広く資財を集めることを目的とする募資活動)を、通りかかった旅行者が断る。それに怒った大鮒が姿を現すと、旅行者は慌てて勧進する。喜んだ鮒は飛び跳ねたり船の綱をくわえて泳いだり。
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解説で聞いていた鮒のパクパクする感じが明るく楽しい感じだった。
■「長光」(ながみつ)
板東方(鎌倉あたりの者。田舎者)の男が上方見物に行く。預かり物の太刀を手にしている。途中に立ち寄った市は賑わい、男はすっかり夢中になって店々を回っていく。すると都のすっぱ(泥棒)が男の太刀を取ろうとして、驚いた男とすっぱ、2人で太刀の奪い合いになる。
そこに現れたのが目代(もくだい。私的な代官)だ。双方の言い分を聞こうとするが、すっぱは男の話を盗み聞きしておいてそっくりそのまま繰り返すので、目代は判断つきかねて困り果てる。男は一計を案じ、目代の質問に小声で答えてすっぱに聞かせないようにする。一転旗色が悪くなったすっぱは逃げていく。
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面白かった。
■素囃子「早笛舞働」
入場時に渡されたパンフレットには「早笛は、竜神や鬼畜などが勢いよく登場するときに奏される急調の曲。また舞働も荒ぶる神や竜神などの勇壮な動作、威勢を表す場面で奏される。」とある。
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このパンフレットの演目解説と語句解説は分かりにくいと思った。「すっぱ」も解説してなかったしな。上に書き出した説明文も何だかイマイチ分かりにくいと感じる。
■「朝比奈」(あさひな)
地獄の大王、閻魔。この頃は仏教が広まって誰もが極楽に行ってしまうと嘆く。六道の辻(《仏教語》 死者が六道((地獄道、餓鬼道、畜生道、阿修羅道、人間道、天道))のいずれかへ分かれていく道の分岐点)に自ら出向いて罪人を堕としてやろうと、死人が来るのを待つ。
そこに来たのが中世の代表的な英雄、武将の朝比奈だった。閻魔が責めても朝比奈はビクともしない。かえって転がされる始末の閻魔は、和田戦(わだいくさ。鎌倉時代、和田義盛が一門で北条氏を討とうとして敗北した合戦)の話を聞かせろと頼む。
朝比奈は臨場感タップリに有名な「門破り」のエピソードなどを語る。すっかりやる気の失せた閻魔は朝比奈が望むがままに天道に案内していく。
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「朝比奈の語りについて」、「《漫画》 朝比奈の門破り」という説明書きが配られたのは良かった。理解に大いに役立ったのではないか。
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「朝比奈の門破り」というのは「大門に単身向かった朝比奈を恐れて敵兵が門の内側からクギを打った上で百人が内側から押さえていたのに、朝比奈はその門を開くのではなくそのまま内側へ倒して押さえていた敵兵たちが門の下敷きとなり、まるで押し寿司のようだった。」というエピソード。百人力だ。
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閻魔が手にする杖は細い竹、対して朝比奈の方はぶっとい青竹で、ガタイもいい。いかにも歴戦の勇士といったところか。演じているのは孫とおじいちゃんだけど。
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さすが閻魔の孫は若いだけあって舞台の上で躍動している。そうさせているように見せる朝比奈のおじいちゃんもうまいんだな。
《休憩 15分》
■「花折」(はなおり)
桜が満開の寺の境内。住職は今年は花見を禁止するので誰も入れるなと新発意(しんぼち。出家して間もない者)に言い渡して出かけていく。
そこへ近所の男たちが寺で花見をしようとやってくる。しかし門扉は閉じられ中に入れてもらえない。仕方なく門前で花見を始める。
新発意はその楽しそうな声を聞いて「花にも神酒を」と男たちを境内に入れてしまう。男たちの花見の宴席に加わって飲んだ新発意は気が大きくなり、枝を手折って男たちにくれてやる。
住職が帰る。したたかに酔った新発意は…(最後はどうだったかな? 住職にも枝を手折って渡そうとして怒られ逃げていく… て感じか?)
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ああ、やはり日本の花見はいいなあ。
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男たちは順に謡や舞を披露していく。舞うことはできないが、謡を来年の花見の時に思い出してみるのも一興ではないかなんて気にさせられた。
ロビーに掲げられていた紙。「この用紙は撮影してもOKです。」とあったし配布もしていたので紹介する。