そしてそして。

ドンキを出た後に。



「さて。どこ行こうか?眠い?帰りたくなったら無理せずに言ってね」


「私は大丈夫ですよ^^元気です。明日休みだし。でもSさんこそ今日も夜から仕事なのに、大丈夫なんですか?」


「俺?おれは平気だよ。今日は水猫が疲れてもう歩けないって言うまで、付き合うって決めたしwww」


「ほんとですか?嬉しいですvv」


「じゃ、また散歩でもするかぁ」



とりあえず、またてくてく歩くことに。

でも、それも楽しかった。

Sさんと一緒なら、どこでも楽しいwww



そしてのどが渇いたから、自販機近くを通った時に、例のボルヴィックのレモン味を買ってもらった。

おいしかったな~。

今でもハマッテますドキドキ


そのとき初めて間接チュウもしたしねwww



そして。



「あっちの方行ってみるか」



言われて、Sさんの横をついてゆく。

途中タクシーや車がたくさん通るところがあり、Sさんは危ないからって腰に腕を回してくれて、エスコートしてくれる。

口には出さないけど、車が通ったり、横断歩道を渡る時、ずっとそうしてくれていたのを今も覚えてる。



開けた通りに出た時。



(あ……ここの通り、知ってる……でも、黙っておこう……)




私はずっと知らないふりを突き通していた。

新宿のホテル街。



彼氏と遊ぶときはいつも通っていたから、知らないなんてことはない。

連絡の取れなくなった彼氏のことを、ふと思い出す。




「ああ、こんなとこ出るのか~」



本当に利口な人だから、知らなかったとは思えないけど。

Sさんが言うには、


「彼女とは同棲して長いから、ホテル街なんて滅多に来ないんだよな、へぇ」




だから俺は知らない。

そんな気はない。

そう言いたげだった。


でも、今思えばとても信じられない。

Sさんが、知らないはずはない。

だってSさんは物知りで、人脈が広くて、私の憧れだから……。

なんだって知ってるんだ……。



そうして、朝のホテル街を二人でうろついてた。

最初、私はまさかと思って緊張してたけど……。


ほんとうにただ、ぶらついてるだけ。

おまけにSさんは、



「あー。この外壁いいな~。ここ、結構金かけてんな…」



と、ホテルの造りを査定する始末。

色んな仕事経験があるから、本当にびっくりするくらい色んなことが出来る。

建築関係の仕事もしてたらしいから、どれにどれくらいの値段をかけてるかがわかるらしい。



「コンクリートの壁は、結構高いんだよ。雨に晒されて汚れてるけど、ひび割れてないしね。あれはちゃんと金かけてる証拠だよ」


「へえ~そうなんですか?あっちは割れてますね~」


「お~、横に入ってるのはダメだね~。多分内装もそうでもないし、何より部屋も狭いよ多分」


「なるほど~」


「あっちのは貯水槽が汚いからね、たぶんそうでもない。綺麗そうに見えて、築20年は経ってるね~。向こうのは上の方だけ煉瓦張りしてないし、きっとダメだねぇ。あと途中の飾り木、切れ目入ってるし、一本じゃないとこをみると、やっぱダメだね~」


「あ~言われてみると残念な感じですね~」



そんな感じで、ずっと外壁についてのお話を延々とwwwww

ホテル入るとか全くそんな気配ないしwwww

緊張してソンしたってくらい私には興味がないみたいで…wwww


それを少し寂しくも思ったけど、あんなに綺麗でかわいい彼女さんがいたら、当たり前のこと。

それにSさんだったら、私なんかを選ばずとも、綺麗な人がまわりにたくさんいるはずだから。


大人なSさんが、私なんか求めるはずもない。



あっちの通りはどうなってるのかな?あ、ここに繋がってるのか~っ」



ってSさんは私のそんな気もしらず、一人納得してるしwww

納得するごとにタバコをふかし、休憩とってwww

すい終わると、じゃ、もっかいもどってみよっかwwwトカwwww

どんだけホテル鑑賞にはまってるんですかあなたはwwwwみたいなww


でも凄く楽しかったから、夢中になって色々話聞いてた私www


たぶん30分以上はうろうろしてたし、訳アリそうなカップル通るたびに、二人でどんな関係かな~って話をしてたwww


「でも私たちも逆に同じように思われてますよ、きっとwwwさっきから同じとこぐるぐるしてますしwwww」


「そういやさっきもあのカップルとすれ違ったなぁ~wwwちょっと隠れようぜwww」


そういって角を曲がると、綺麗な外壁の飲み屋さん発見。



「こんなとこに居酒屋さんなんてあるんですね。しかもお洒落風の居酒屋だ~」


「メニュー見てると、値段はそうでもねえな~。でも造り綺麗だし、しっかりしてる。この壁はあとから雨ざらしになってもいいようにコーティングしてあるな。あと、なによりこの玄関のドアは高いやつだなぁ」


「へ~。コーティングとかあるんですね」



そんな感じで。



「そろそろ疲れたか?ごめんな付き合わして」


「いえ、大丈夫ですよ。もう朝ですね~」




いいながら、路地裏をてくてく歩いた。



「やっぱり、ここのホテルは綺麗だな」



場所を移動するとき、一番最初にSさんの目に付いたホテルの裏口に出た。


「あ、ここ裏からも入れるんですね~。人目につかないから入りやすいんですね」


もうすっかり鑑定人気分の私www

何様wwww


「立地条件もイイってことだな…」


納得したように、Sさんはタバコの火をつけた。

その間、Sさんは何もしゃべらなくなったから、私はそのホテルの外装をずっと眺めてた。


(確かに綺麗だな~…)



そう思ってたとき、



「これからどうしようか?なんかしたいことある?」


「え?うーん……特に……思いつかないです……」


「そうか…」


考え込むように、Sさんはタバコをふかした。

Sさんがヘビースモーカーだって知ったのは、このデートからだ。


そのあとの記憶は、とても曖昧。

思い出したいのに、鮮明には甦らない。

きっと、気が動転していたんだろう。

ただ、はっきり覚えているのは……。



6へ続く。