La Vita è Bella -3ページ目

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18Apr
- 庭
  庭を見ていると季節がわかる、素敵な家がご近所にあって、今は紅白のハナミズキが満開です。ご近所にはわりと立派な庭付きのご家庭が多くて、歩きながら楽しませて頂いています。夏にはノウゼンカズラやサルスベリ、秋にはハギやキンモクセイ、冬には椿、春先にはボケやミモザなんかが庭を彩っていて、やっぱり庭っていいなぁ、と。私自身はあまり庭いじりに興味がなかったのだけれど、両親が庭いじりが大好きで、しょっちゅう花を植えたり、花壇を作ったり、家庭菜園をしたりしているのを見ていたので、今更になってそれが恋しくなったのかもしれない。せめて部屋に観葉植物とか置きたいなぁ、と思って花屋さんを見るけれど、長期休暇はほぼいないので、世話ができなくてかわいそうだな、と思うとなかなか選べない。たまーに切り花を飾るくらいになってます。今日も春の花を買って帰ろうかな。
14Apr
- answer
  この頃、答えのない問題を考えつづけている。やりたことがある。だけど、それをするためには、どうすればいいのか。したいことをすればいい、という人もいるけれど、したいことをするためには、それをするための努力が必要で、それをどう努力すればいいのか。…そこで気づくのは、やっぱり答えなんてなくて、わからないなりに動いて、躓いたりしながら、道を切り開くしかないんだな、ということ。何ができるかわからないけど、まずはできることから。頭で考えすぎてるんだろう。もう若くはないけど、まずは一歩の勇気。答えはないけど、それだけたくさんの方法があるってことだ。
27Mar
- 片道旅行
  旅に出るのが好き。日帰りだったり、ちょっと遠出して何泊かしたり。旅に出るのは、日常と少し違う時間を過ごしたいから。交通の不便な町に滞在して、いつもと違う体験をする。それだけでも、日常から外れた気がして、楽しい気持ちになる。この不便さが日常のひとたちは、きっと都会に出て刺激を求めるんだろう。旅をするたびに「帰りたくないなぁ」なんて思う。この旅が片道だったら、日常に戻らなくてもよかったら。でもそうすると、きっと旅自体が日常になって、繰り返しの毎日が恋しくなるのかもしれない、片道の汽車にあこがれることができるのは、きっと帰る場所がちゃんとあるから。それってしあわせなことなんだな。そういうことを忘れないために、今日も私は旅をしている。
21Mar
- はるをまつ
  幼いころ、すごく好きだったおはなしがある。だけど、そのおはなしのタイトルも、詳細な部分もわすれてしまった。覚えているのは、お客さんに葉っぱのコップで飲み物をあげるシーンと、そのお客さんがたしか「春一番」だった、ということ。葉っぱのコップ、がとても魅力的だったし、それで出された飲み物（なんだったか忘れた）はとてもおいしいはず。たしか一人ぽっちだった「春一番」は、そのおもてなしがとてもうれしかっただろう。子どもなりに、孤独とか人のやさしさ、というのをものがたりから受け取っていたように思う。何度も繰り返し読んで大好きだったはずなのに、もう記憶は曖昧。もしかしたら、その覚えていることすら、間違っているのかもしれない。それでもまだ心の奥にはこびりついているようで、春が近づくたびに、その童話を思い出す。「春一番」という言葉は、そのものがたりに教えてもらった。たぶん、幼いころはほとんど絵本や童話で言葉を覚えていたと思う。ネットで調べても出てこないし、子ども図書館でも行ってみようか。訪れた春の陽射しと、夥しい花粉を浴びながら…
20Mar
- 恋するシロクマ
  最近は動物もののコミックも増えていますが、私の胸を打ち抜いたのは、「恋するシロクマ」。タイトルどおり、恋をするシロクマのお話しですが、そのお相手がなんと――本来なら捕食対象である、アザラシ。しかもオス。真っ白な体が美しいアザラシくんに恋をしたシロクマくんは、性別も種族の障害もものともせず、一途に果敢にアタックを試みます。まさに恋は盲目。アザラシくんにどれだけ怯えられ、拒絶されてもへこたれないシロクマくん。そしてそのアタックを受けるアザラシくんは、当然ながら恐怖しか感じない。なんとか隙をみては逃げ出し、シロクマくんに肩を抱かれては震え、「すき」だと言われれば食べられることに怯え。そのくせアザラシくんの妙に冷静なところや、意外に毒舌なところもまた魅力です。絶対的に折り合わないはずの存在の、言葉の掛け合いとそのすれ違いっぷりが、たまらなくかわいい。そんなふたり（二頭？）の恋をこれからも見守りたい。そう思います。
- おかたづけ
  掃除をしていると、つい脱線してしまう。懐かしい本をつい読み耽ったり、親や友達からの手紙を読み返したり、何年かぶりに見つけたＣＤをかけて歌ってみたり。そして、封印していたはずの、失恋のかけらを見つけて、まだ胸が痛むことに驚いた。もう何年も前に解約した携帯電話。何気なく充電して、データが残っているかを確認したら、大好きだった人からのメールが残っていた。読み返したい。でも読むのがこわい。やっと封じ込めたはずの、気持ちがよみがえりそうな気がするから、なんで充電なんかしちゃったんだろう。そんなこと繰り返し考えながら、携帯を閉じたり開いたり。数年前、大好きだった人。ちょっとの勇気を出せば、もしかしたら今も隣で笑っていたかもしれない。そんなことばかり頭をかすめるから、なかなか忘れられないかもしれない。忘れたほうがいい。もう忘れなくちゃいけない。そう思うのに、思い出すのは彼のことばっかりだ。笑った顔。くだらないいたずら。かっこつけた言葉。天然なところ。思い浮かぶ彼の顔を、彼への思いを、携帯と一緒にまた封印する。もう使わないノートや、もう読まないも一緒に、箱の奥の方へしまいこむように。平気になるには、もう少しだけ時間が必要、だから。次に取り出すときには、セピア色に染まっていればいい。懐かしいなあ、と笑って見られるようになればいい。捨てたりはしない。ずっとずっと大切にしたい気持ちだから。次にまたこの箱を開くときは、もう片付けの必要がありませんように。
08Mar
- きみはだれ？
  この頃、毎日のように聴いている音楽がある。もう十年くらいまえの曲で、たぶんこの曲を知っている人は数えられるくらい。インディーズバンドの曲で、もうそのバンドも活動はしていないけれど、初めて聴いたときから、ずっとずっと私を支えてくれている、大切な曲。その一節にあるのが、「きみはだれ？」という言葉。なんの変哲もない問いかけだけど、私はじぶんの行く道に迷う度に、自分に問いかける癖がついた。「きみはだれ？」その度に、私は答える。「何者でもない」私はまだ何者にもなっていない。だから諦めたり、やけになったりするのは早いなって思える。自分が何者かなんて、わかっているようで本当はわかっていない。そう教えてくれたのが、その曲だった。今もまた岐路に立っている。そして今日も問いかける。何者かになるために、いまは進め！そう背中を押してくれる大切な歌を聴きながら。
02Mar
- ガラクタ屋さん
  先日、某芸術大学の卒業展に行ってきました。私は芸術センスというものが欠落しているので、自分で何かを創り出す、というのは非常に苦手ですが、芸術を見るのはとても好きなのです。学生が描いたとは思えないような絵画もあれば、独創的なオブジェや、陶磁器、織物、さまざまな芸術がそこにはありました。個人的にとても印象的だったのは、ガラクタ屋さんを模した展示です。ワイングラスや一升瓶で作った照明や、信管、ビー玉、ボタン、鉱石などなど。ノスタルジックで、ちょっとファンタジックで、とても素敵な展示でした。子供の頃集めたガラクタが、宝物だった時代。そういう気持ちを思い出させてくれて、なんだかトキメいた。きっと卒業後は、みんなそれぞれデザイナーだったり、イベンターだったり、芸術家だったり、それぞれの道を歩いていくのだろうけど、彼らの作品が、街を飾ることもあるのかもしれません。たとえ彼らの名前を知らなくても、それはとても素敵なことだなあ、と幸せなきもちになります。私も何かを伝えられるようになりたい。学生たちの作品に力づけられた気がします。
01Mar
- 忘れた頃に
  書こう書こうと思いながらも、日々の生活に追われて、つい先延ばしにしてしまいます。この間にも、たくさんの素敵な本や人に出会いました。今年ももう3月になってしまったけど、なるべく日を置かずに書いていきたい。…まずはネット環境を調えないとですが。スマホで長文書くのは苦手です。
28Oct
- 転換期
  霊感的なものも直感的なものも鈍いけど、時々、いまが人生の転換期かな、と思うことがあります。色んなタイミングがかちりと噛み合って、いままで歩いてきた道から方向転換する時期。たぶん私にとって今年はそういう時期。目に見えては状況は変わってないけれど、環境、人間関係、そういうものの準備が少しずつ調い始めてきた感じ。それがどう転ぶのかはまだわからないけど、自分にとっていいものになればいいなぁ、と。だから自然に任せる部分は任せて、自分で努力できることをしていこう。たぶん来年から色々変わってくだろうな。
26Oct
- 幻想シリーズ
  堀川アサコさんの『幻想シリーズ』。ファンタジーで、ちょっぴりホラー味の小説です。郵便局や映画館なんて、私たちの生活にあまりにも身近な場所が、あの世とこの世を繋ぐ場所になっている。怨霊も出てくるし、ぞくりとするシーンもあるけど、どこかコミカルで茶目っ気のある登場人物（幽霊）たち。共通するのは、この世の人ではなくなっても、この世の人でなくなったからこそ、残してきた人たちへと伝えたい想いや、守りたい想い。常ならぬからこその愛情。大切な人たちには、なるべく寂しい想いをさせないようにしなくちゃね。読み終わったあと、家族の顔を思い出して、電話しました。そんな気持ちになるシリーズでした。
22Oct
- 家族とごはん
  本屋さんに行くと、ごはんもののコミックをよく見かけます。数年前から根強い人気があるみたいで、やはり人は食べることへの興味は強いのだなぁ、と。私はあまり食べることに興味がないけれど、グルメ漫画を読むと料理したくなる。まぁ、普段あまり料理しないから得意ではないんですけどね。ティファニーで朝食を信長のシェフきのう何食べた？おとりよせ王子飯田好美などなど色々出てますが、私がハマるのは子育てごはんコミック。甘々と稲妻パパと親父のウチごはんどちらも、シングルファザーのパパが子どものために、ごはん作りに奮闘する話なんですが、家族でごはん、っていいなあ。家族でごはんを作るっていいなあ。読みながらほのぼのとします。そしてウルウルすることも…。そしてレシピも、物語の中の人物が初心者ということもあって、そんなに難しくないっていうのが大事！いくつか作ってみたけど、簡単でおいしい。料理本もいいけど、物語を楽しみながら、レパートリーも増えるってお徳ですよね(*^^*)
21Oct
- がんばらない
  仕事は好き。本に携わる仕事をするのは小さい頃からの夢だったから、そういう意味では夢をひとつ叶えてることになる。でもこのままでいいのかなぁ、と考えることが増えている。好きな仕事なのに、楽しくない。色んな要因があって、それを改善できれば楽しくなることもわかってるけど、それは私の力では到底無理な話で。頑張っても頑張っても伝わらない相手って、やっぱりいる。小説や漫画みたいに、最後にはうまくなんかいかない。私は手に職があるわけじゃないし、歯車の１つにすらなれてないような気もする。もっと勉強しなきゃいけないし、経験も積まなくちゃいけない。今のとこで頑張るんじゃなく、新しい道を探すのもひとつの選択かな。たぶん今の道を進むより、はるかに険しい道かもしれないけど。1日の半分は仕事なんだから、どうせなら楽しくしたい。ラクでも楽しくないのは嫌だ。同じ頑張るなら我慢じゃなくて、別の方向で頑張ろうかな。よし、書いたらスッキリした。とりあえず出来ることからやっていこう。
14Oct
- いまこの瞬間が
  百人一首がとても好きです。競技かるたのほうではなく、歌そのものが。百人一首を取り扱ったコミックは色々あるけれど、私が好きなのは『うた恋い。』シリーズと、『ちはやふる』。うた恋い。は歌人の恋物語。編纂者である藤原定家が金髪碧眼である時点で、史実に忠実な物語ではないけど、人間関係がわかりやすいし、作者たちの恋物語自体は有名であるので、親しみもある。私が一番好きなあいみてののちのこころにくらぶればむかしはものをおもはざりけりの作者、藤原敦忠がまだ出てきてないのが残念なのだけど…。藤原公任のキャラも壊れてて面白いし、藤原義孝の恋は平安貴族のなかでも、純愛でキュンとする。薄命だったから尚更かもしれない。キャラ読みもできるから、百人一首に興味はあるけど難しいのはちょっと…という人でも読みやすいかと思います。言わずもがな、『ちはやふる』は大人気コミックですね。広瀬すずちゃん主演で、映画化までされて…。個人的に実写化が苦手なので、見ないと思うけれど。やはりこれは競技かるたの熱さですね！うまく歌を絡めているのがいい！小学校の頃はかるたにハマって、一応学年一番でした（笑）本格的なものじゃなかったから、競技かるたなんてとてもとても無理な実力でしたけどね。今はちょっと瑞沢かるた部が心配な展開がちょっとずつ希望が見えてきたので、続きが待ち遠しい。太一の今後が気になります～。たった35文字に込められた、その瞬間の風景だったり思いだったり、技術だったり。そこには今も昔もなくて、現代と同じように恋したり、憎んだり、妬んだり、喜んだり、いろんな感情を持った人たちが生きていたんだなぁ、と思うのです。そしてそれが1000年経った現代でも親しまれている。それって奇跡のようなことだと思うのです。いまこの瞬間を大切に生きてこう。百人一首を眺めると、そういう気持ちになります。
12Oct
- たまには朝から
  休日の予定といえば、家でゴロゴロがデフォルト。マンガ読んだり、小説読んだり、ちょっとだけ仕事の調べ物したり、寝たり。正直食べるのも面倒。食に興味がない、というと、人生の半分は損してるらしい。でも美味しいものは好きだから、損はしてないと思うんだ。食べるための労力を惜しんでるだけで。そうやって土日どちらも出かけずに終わる事が多い。なので週末だけ体重が落ちる。これじゃいかん、と思うと、たまに朝から出かけて、カフェでモーニング。ミルク多めのカフェオレだと最高。一応、体重も気にしてバターや砂糖は少なそうなパンを選ぶ。カフェでのんびり過ごしたら、今日は古本屋めぐり。いい休日になりそうだ。
06Oct
- そうだ、神様に会いに行こう
  ずーっと気になっていた、浅葉なつさんの「神様の御用人」をようやく読みました。軽いタッチの文章だけど、神様のことがきちんと書かれ（やけに現代的だったり、人間くさいけれど）、それを優しい物語にされていて、とても読みやすかった。普段見過ごしがちな、神社のこと、神様のこと。神様にも想いがあって、哀しい想いも、怒りもあって。かつての、神様と人間はとても近い存在であったこと。現代でも当たり前のように、私たちの生活の中にあるのに、それがワガママで一方的になりつつあること。それを思い出させてくれるお話でした。私は日本人の、万物のものに神が宿る、という考え方がとても好きです。基本的に目に見えないものは恐れないけれど、だからといって目に見えないものが存在しない、とは思わないのです。妖怪も、幽霊も、神様も。とくに、神様はいる、と思ってます。とはいえ、無宗教だし、信心深いわけでもないんですけどね。神社に行くのが好きで、旅先では必ず神社を回ります。祀られている神様を見ては、日本ってホントに色んな神様がいらっしゃるんだなぁ、と。まぁ、それが国際問題に発展している部分もあるわけですけども。正しいのか、そうでないのかはわからないけれど、先人を敬おうとする日本人の心は素敵です。私が神社に行くのは、心が落ち着くから。霊感はないけれど、神域だからなのか、心なしか空気も清浄に澄んでいる気がする。助けてもらおう、とか、願いを叶えてもらおう、というんじゃなくて、見守ってくださっているんじゃないかなぁ、と思うことがあるのです。もちろん願いがないわけじゃないし、神社で祈願することもあるんだけど、それが叶わないからといって、神様がいない、とは思わない。神様は努力する人間に、そっと力添えをしてくれるものなんじゃないかな。そう思うと、がんばろう！っていう気持ちになる。日々生活していく中での、ほんのささやかな願い。そういうものを見守ってくださる神様は、きっといるのだと思うのです。だから私ももう少し勉強もして、神様の思いに報いることができるような振る舞いをしていきたい。そう思ったのでした。
08Sep
- ripresa
  なんとなくPCを開く気分になれず、気づけば数ヶ月。スマホを持っていなかった頃は、毎日のようにPCに向かっていたのになぁ、と少し自分が嘆かわしくなります。あまりテレビを見ない私は、ニュースや情報収集はすべてネットでしているのだけれど、今はスマホで簡単に見れてしまうので、PCを開かなくても事足りてしまうのですよね。そしてスマホを使いこなせていないから、ブログの更新とかはついつい滞ってしまう、という悪循環。PCに触っていない＝文章を書く練習をしていない、ということなので・・・勉強も滞っているし、自分のダメさに打ちひしがれそうです。ということで、一念発起。最低でも週に一度はPCを開き、文章を書いていこうと思います。まずは決意表明をば。
27Apr
- 茉莉花
  街を歩いてると茉莉花の香りが漂う季節。この香り大好きです。どこかお散歩行きたいな。
19Apr
- 向日葵の咲かない夏
  道尾秀介さんのお名前は「面白い」と聞いていて、いつか読もう読もうと思いながらも、全然読んでいませんでした。気になるタイトルはいくつかあったのですが、たまたま会社で譲ってもらったのが、この『向日葵の咲かない夏』。冒頭から妹が死んでしまった、という事実が明かされます。そして主人公の同級生、Ｓ君の首つり自殺。その死体を発見した主人公が学校に知らせに行っているあいだに、忽然と姿を消したＳ君の死体。そしてそのＳ君が蜘蛛となって、主人公の前に現れる。Ｓ君は本当に自殺だったのか。そうではないとしたら、Ｓ君は誰に殺されたのか。蜘蛛となって戻ってきたＳ君と主人公は、事件の真実にたどり着くために動きだすのですが、ん？これはファンタジーなのか？？と何度も首を捻りつつも、話の進め方がとても巧みなのでぐいぐいと読めました。登場人物はみなそれぞれ心の中に深い闇を抱えていて、主人公が唯一まとものようにも見えるのですが…誰が一番深い闇を持っているのか。それを考えながら読むと一層面白いのかもしれません。ただ、、、私、この作家さんのお話は好きになれないかもしれません。個人の好みの問題ですが、だれも救われない、後味の悪い物語は苦手です。もちろん物語によっては、必ずしもハッピーエンドでなくてもいいのですが。。。人間の汚さをこれでもか！と見せつけられた気分になって、非常に気持ちが重くなりました。とはいえ、まだ道尾さんの小説はこの本しか読んでいないので、結論を出すには早計。もういくつか読んでみようかと思います。
12Apr
- 時をめぐる物語
  久々にPCを立ち上げました。その間に多くの本を読んだかといえばそうでもなく、どちらかといえばコミックばかり読んでいたような気もします。しばらくネット離れをしていた間に、とても素敵な小説に出会いました。とても有名な著者さんですが、恥ずかしながら今まで手に取ったことはなく…早く読んでればよかったなーと後悔しました。北村薫さんの、時をテーマにした三部作。『スキップ』『ターン』『リセット』どの作品も時間が持つ優しい部分と、残酷な部分が綴られています。とくに女性にとって残酷なのは、やはり『スキップ』かと。十代だった主人公が、気づけば四十代の自分の身体になっていた。つまり時間が二十年分もスキップしていて、心だけが十代のまま。気持ちの問題なわけではなく、実際に精神だけがタイムスリップしている。これは女性にとってはかなりキツイですよね。知らないうちに知らない人と結婚して、知らないうちに自分の心と同じ年の娘がいて、身体だってもちろん四十代のしまりがなくなった身体。二十何年分の記憶がないまま、何もかもが変わった世界で、知らない人たちと家族として生活しなくちゃいけない。もし私がこんな状況になったら…考えるだけで怖い。でも主人公の女性はとてもしなやかな心の持ち主でした。少しキレイすぎるくらい清らかな人で、これからの人生を楽しみながら、きちんと生きようとする女性。最初は戸惑っていたご主人や娘さんも、そんな主人公を支え、また支えられながらイチから家族になっていく。その過程がとても素敵だと思いました。『ターン』は事故にあった女性が、何度も同じ一日を繰り返します。毎日同じ時間になると、一日前のその時間に戻ってしまう。これもまた恐怖ですよね。私も仕事がつらいときなんかは「明日なんか来なきゃいいのに」ってよく思うけれど、実際に明日が来なくて延々と同じ日を繰り返すなんて耐えられない。つらくても明日があるから、進んでいくことができるんですよね。さて、主人公は通常の世界と切り離された時間のなかで生活していくわけですが、過ごした日々の生活の記憶なんかはきちんと残されているし、前日の今日とは違うことをして過ごすこともできます。そんなある日、隔絶された時間を超えて一本の電話がつながりました。誰もいない世界でたった一人で生活していた主人公にとって、その奇跡の電話がどれだけ救いとなったか想像に難くありません。その電話の相手は見知らぬ男性。最初は疑っていたものの、この突拍子もない状況を受け入れ、電話を繋げたままにしてくれ、主人公に寄り添ってくれます。直接顔を合わせることができないと嘆く主人公に対して、「会ってるじゃないか。面と向かっていたって、会ってない人たちはいくらもいるよ」と答えた男性が、とっても素敵だなあ、と惚れ惚れしちゃいました。実際この男性は本当に言葉選びとかが素敵な人で、こんな人が身近にいたら確実に惚れます、たぶん。最後は少しミステリーな雰囲気になりますが、温かい結末が待っています。最後は「リセット」。後半までは、リセットってどういう意味なんだろう？と思うほど、ゆっくりと話が進みます。中盤までは戦時中を生きる女の子の手紙を読んでいるような気分でした。戦時中初期の中流家庭の、まだ豊かな生活、本を貸してくれた男の子に対する、初恋というにはあまりにも淡い想い、戦争が激しくなっていくにつれて窮乏していく生活。戦争を知らない私にとっては、当時の流行や生活、女生徒たちが飛行機を作っていたことなんかが衝撃でした。中盤からは視点が戦後を生きる小学生の男の子に変わります。カンの良い人なら、ここでリセットの意味がわかるのかもしれません。少年は本を読むのが好きで、ふとしたきっかけで本貸しをしている中年の女性と出会います。本を借りるようになった少年は、どんどん女性と仲良くなっていきます。そして、ある日ふと気づくのです。その女性はずっと昔から好きだった女性だ――、と。ここからもうひと波乱あるのですが、こちらも最後はハッピーな結末です。どの作品も主人公の女性がとても魅力的で、こんな女性になりたいなあ、なんて無謀なことも思いました。女性として一番素敵だと思ったのは「スキップ」ですが、物語として一番好きなのは「ターン」、かな。心に刺さる言葉がいくつも綴られていて、何度でも読み返したい作品でした。もう一冊、北村さんの作品を手に入れているので、また読んだら紹介しようと思います。