悲しい別れを経て、私は4年生になった。
母がこの頃から更に厳しくなっていったのを覚えている。
私には他に兄弟がいたが、私に対する勉強やマナー等の基準値が異様に高かったのだ。
決して私が兄弟に比べて劣っていたわけではない。
むしろ兄弟よりも成績は良かったし、先生から学校での態度の悪さを指摘されることも無かった。
兄弟はテストで80点も取れたらおもちゃを買って
もらっていたが、私はテストは満点でなければ
怒られたし、字が汚ければ途中まで進めた宿題を
消しゴムで消されていた。
ある授業参観の日、遠くからこちらに来ている母の
姿が見えたので駆け寄って行くと、「邪魔。こっち
に来るな」と言われた。
同級生の前での出来事だったので、その場にいた
同級生と目を合わせては若干気まずそうな表情を
浮かべていたのを鮮明に覚えている。
恐らく同級生はその時から「この子の家族は変だな」と気付いていただろう。
また、母は料理以外の家事を私に押し付けるようになった。
放課後に遊びに行けず、近所のスーパーで米や食材
を大量に買って帰宅する時は同級生に会わないように祈りながら帰るのが辛かった。
それに、私のことは思い通りに操れると思ったのか、兄弟には一切させなかったのが更に憎い。