私がかつて入院していた古い病院は、
今新しい敷地に建て替え工事をして跡形もない。
入院していた頃、辛さもあったけど、
必ずしも辛くない時期があった。
それは、私にとっては遅かった思春期で、大事にしてもらえた場所だったから。母を独り占め出来て甘えられた場所だったから。病院が居場所みたいな時期を過ごしていた。
寂しくなるとなのかわからないけれど、不意に昔の病院を見に行ったりすることがあった。建物は古びて誰もいないのに、私はここで生きていたんだなって懐かしく思ったりしていた。生きてる感覚がないと、生きていたんだなって確認したかったのかもしれない。
今は、もう看板もなければ何もない。
母と過ごした場所はもうないけれど、
いつまでも思い出すんだろうな。
大人になっても、子どもらしく甘えられるのが許された場所を。
今は余裕のない日だなと実感しつつ、
何とか仕事に行って、その日々を繰り返せている。うつも摂食障害も抱えながら、普通に溶け込もうと必死に生きている。そんな人、想像では足りないくらい実は多いんじゃないかなって思ったりもする。
生きていた場所、今生きてる場所、どっちも大事。
だから失くさないようにしたいなと思う。