今日のテーマは、
「もし、事故の相手が自動車保険に契約していなかったら」
です。
実は最近これに近い事案がありましたので、その対処方法についてお伝えします。
先ず、実際の事例からご紹介します。
私のお客様が車対車の事故に遭いました。
お客様の側が優先道路、相手側には一旦停止線があります。
出会い頭事故の為、基本の責任割合は、8:2=優先道路側:一旦停止線側の事案です。
交通事故としては良くある事故です。
ただこの事故は、ここからがいつもと違いました。
一応時系列として、ご紹介します。
・事故の翌営業日(事故発生は金曜)
通常であれば、双方の契約者から事故の報告が入り、双方の保険会社が連絡を取り合い事故状況について確認を進めますが、J〇側には事故の報告が未だあがってきていないとの事。
夕方17時頃でもその状況であった為、おかしいと思い相手側に直接連絡を取るも、「J〇に間違いなく事故報告をしている」との返事。
おかしいとは思ったが、一日待つ事に。
・事故から二日目(火曜日)
火曜に10時過ぎの時点でも、東京海上の担当者には何も連絡がない状態。
その為、代理店である私がJAの事故担当部署へ直接入電し、「契約の有効性を確認している」との理由から、「J〇として事故対応が出来る状態ではない」として一方的に回答。
「契約の有効性の確認にどれくらいの日数を必要とするか?」と質問するが、「どれくらいの期間が必要になるか分からない」との回答。
また、相手側からお客様への直接の連絡もない状況。
お客様のお乗りの車は右フロントが大破し自走不能な状況であり、全損。こういう損傷状況であれば、責任割合が多い側が低い側に対して、直接の謝罪等を行うのが望ましいが、そうした事もない状況。
この時点で東京海上日動の担当者と以下打ち合わせを実施
・昨年の8月に新車が納車されているが、おそらく車両入替がされていない状態であり、契約が有効でない状況と推測
・おそらく数週間以内に車両入替を事後的に行うと推測
・一方的に待つ必要もなく、こうした状況下では期限を区切るのが望ましい
・2週間以内に何も回答がない場合、当方としては弁護士に委任し相手側に対して直接訴訟に速やかに移行する
・当初穏便な解決をする方針であったが、これまでの一連の対応を踏まえて、人身事故への切り替えも示唆
との方針を固め、J〇の担当者へ担当者経由で連絡、相手側へはメールにて上記の方針を伝える。
相手側からは私の携帯に直接連絡が入りましたが、内容としては概ね以下の通り
・出入りしているJ〇が対応している
・J〇からは口止めされているので、何も話せない状態
・J〇側の事故担当者の名前も知らない
・こちらとしてはJAに全て一任しているため、自分に非はない
という主旨の発言
自己当事者としての責任と誠実さが一切感じられず、これ以上話していても時間の無駄の為、相手側は話していたが、電話を切りました。
相手側と直接連絡を取る必要はなく、また、精神衛生上も宜しく無い為、相手側からの連絡は着信拒否として設定。
事故から4日後(木曜)
J〇側から連絡があり、「契約の有効性が確認できた為、事故対応をさせて頂く」という主旨の回答があり。
担当者経由での連絡であり、代理店(私)宛の直接の経緯の報告と謝罪があってしかるべきとして、J〇の担当者と話す。
以下、こちらとして伝えた主な内容
①「契約の有効性が確認できない」と回答したのは火曜であり、月曜にはその事実を認識していた状態。1日時間を経過させる必要はなく、その結果、こちらとしては相手側への直接の連絡、本来発生しないJ〇への度重なる確認作業、相手側への不信感を招いた。その全てはJAの担当者の判断ミスであると認識している。
また、契約の有効性を確認できない状態であったとしても、J〇の契約者側に責任割合が多い状況は変わらない為、本来であれば対人対応(ケガの治療)を進める必要がある立場である。有効性が確認できないのであれば、こちらの契約者の負傷状況を確認の上、こちらの人身傷害にて対応を依頼すべき事案であり、そうした依頼もなかった。こらも本件担当者として判断ミスであると認識している。
②相手側は事故対応を全てJ〇に一任しており、事故当事者としての社会的責任はないとの認識の様だが、事故当事者としての社会的な責任は相応にあり、その認識は誤っている。
③何の有効性を確認していたのか?
④車両入替を失念していた事が今回の根本の原因であると考えられるが、仮にそうであるならば、失念していたJ〇の営業店の支店長(担当者)から直接の謝罪があってしかるべきではないか?
と伝える。
①に関しては、担当者の判断ミスであることを認め、謝罪がありました。
不当に待たせる必要はないですし、ケガをしていてもおかしくはない車の損害状況の為、事故対応が出来ないのであれば、こちらのお客様の保険での対応を依頼するのが、事故担当者としてのあるべき対応と考えます。
②については、この後で私のお客様に電話があった様です。
お客様としては、「何を今さら」という印象でしたが。
③④については、どれだけ詰めて話しても、最後まで口を割る事はありませんでした。
繰り返しですが、実際にあった事例です。
今回のケース、J〇側の契約の有効性が確認できた為、事故対応が進んでいますが、仮に「有効性が確認できない=自動車保険が無保険」という事になります。
色々と考えさせられ、気付きが多い事故でした。
長くなったので、前編(実例)と後編(ではどうするか)に分けて、書かせて頂きます。
宜しくお願いします。