NPO法人 子ども&まちネットが発行している「こまち通信」に寄稿した原稿を
転載します。掲載された文章は、手が入れられるだろうと思って送ったのに、
ほぼ原文ままで載せられてしまいました(^_^;)
まあ、もう世に出た文章なので、どれだけ転載してもいいや~と思って、ここにも
のっけておきます。


「大学院生から見る『ワカモノ』事情」

 子まち会員の西村です。現在は大学院に籍を置きながら、行政コンサルタントの企業でバイトをし、市町村の行政計画策定に携わっています。大学で は建築を専攻し、地震防災の啓発、街歩きワークショップを行うサークルを主宰してきました。子まち関係では「ミニ・ミュンヘン系事業」に非常に関心があ り、ミニさくら、ミニよこはま、ミニおおさかへ見学に行ってきました。現在は名古屋市の進めているミニなごや、子まちのちくさシティーへ参加しています。

 26歳の私の目から見た、前後5歳くらいの「若者」の最近の状況について、お話させていただきます。最近、私が関わった若者というと、
①仮装ゴミ拾いをしているサークル「NGOア∞ス(あーす と読みます)」
②社会問題の勉強会「SCAN(エスキャン)」
③ミニなごやの青年サポーター
の3か所での関わりが特に大きいものとして挙げられます。

 NGOア∞スは「社会の『ツマラナイ』を『オモシロク』」を合言葉に、2007年4月に立ちあがったサークルです。現在は戦隊モノの仮装をして 名古屋駅や栄などでゴミ拾いをする「ア∞ス戦隊ゴミ拾いレンジャー」を中心に活動しています。中心的に活動しているメンバーは20代~30代前半で、その ほとんどが社会人です。私はこの4月から活動に参加していますが、社会人の多さに驚きました。これまで学生として社会的な活動を続けてきましたが、そう いった活動は社会人になったら続けられないだろうと思っていたからです。
 この活動に参加する若者は、SNSや団体のホームページ、口コミなどをきっかけとしていて、会社など仕事上の付き合いだけでは広がらない交友 関係を求めて来ているようです。企画に携わるメンバーは「何か楽しいことをしたい」という思いが強く、それが企画を作っていく原動力になっています。た だ、時によってはその思いが空回ってしまい、「自分たちの楽しみ」と「参加者の楽しみ」をはき違えていることも少なからずあります。ただ、まだ発足して2 年半という歴史の短さもあり、今後、団体として経験値を積んでいくことで活動に深みが増していくのではないかと思います。

 一方、SCANは、2005年愛・地球博に企画出展した学生サークルが前身となり、その時のスタッフを中心として発足した勉強会です。政治や経 済など、大学生~社会人数年目が関心を持つであろう社会問題を題材に、気軽に考え始められるような勉強会を2カ月に1回ほどのペースで開催しています。こ ちらは、勉強会としてのレベルを一定に保ちたいという思いもあり、スタッフや前回参加者からの口コミで参加者を増やしているような状態です。「社会問題」 を扱うということで、一般の若者からすると、自分自身として社会への視点を持ったひとが多く、勉強会でも積極的な発言が絶えません。企画を作っていく際に は、先輩から後輩への厳しいアドバイスもあり、勉強会でただ「学ぶ」のではなく、企画を作り実行していく中での個々人の成長も、活動の目的のひとつとなっ ています。

 最後に、ミニなごやの青年サポーターは、2010年8月に開催を予定している「ミニなごや」の子ども委員会のサポーターとして、名古屋市が公募 した大学生の集まりです。大学2~3年生が多く、これまで大学祭などの企画やボランティアに参加したことがないメンバーがほとんどで、活動を始めて3カ月 ということもあり、会議での動きなど、ぎこちない面もあります。また、将来、保育や教育の職に就きたいという学生が多く、男性に比べ女性が非常に多いのも 特徴的です。
 私自身は、大学1年生の時に大学祭の実行委員会に入り、委員会で長い間受け継がれてきたマニュアルなどの資料を読み漁り、先輩たちのノウハウ を奪って、より早く、より的確な動きが無いものか、考えていたものでした。それはその後のサークルでの活動でも大きく変わることなく、以前以上に自分の関 心事がはっきりしてきたためか、必要な情報には的を絞って、より貪欲になってきている気がします。青年サポーターのメンバーは、ある程度顔見知りになって きているにもかかわらず、お互い、そして担当の市職員の顔色をうかがうような場面があり、子どもたちにどう接していけばいいのか悩んだまま立ち止まってし まっているような場面もあります。どんな活動でもよく言われる話ですが、「とにかく現場に出ろ」というのは、私も共感することであり、私も実践してきたこ とですが、彼らは現場に入っていくことに躊躇してしまっているようです。道筋を示し、背中を押してあげれば何とか動き出す場面もあるのですが、なかなか思 うようにいってくれません。
 今回紹介した若者の中では青年サポーターのメンバーが一番若く、これが最近の若者の傾向なのか?と思ってしまいます。確かに、NGOア∞スや SCANのメンバーにも、そういった自ら動き出せない若者がいることは確かです。こういった活動に少しでも関心を持ち、関わってみようと踏み出してきた一 歩は、非常に大きな一歩だと思います。ただ、これまでの学校教育の成果なのか「指示待ち」をする若者が増えているのが現実だと思います。いずれの集まりに おいても、私が年長者であり、多くの経験をしているのは確かです。「何か活動をしたい」と思って参加してきた若者の思いを受け止め、彼らをどう導いてあげ れば、自ら動き出せるような人材に育てていけるのかは、最近の私の悩みでもあります。