シンガポール発。トラを保護しよう!タイガービール、WWF&アーティストによるデジタルキャンペーン | 【スゴい★PR】PRの本場アメリカ発 最新情報&事例

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■今号のスゴい★PR事例■

 

 

 

 

シンガポール発。

 

野生のトラを保護しよう!

タイガービール、WWF&アーティストによる

デジタルキャンペーン

 

|スゴい★PR《海外マーケティング最前線》

 

 

 

Picture: Screenshot from #3890Tigers Official Website

 

 

 

<Summary>

・タイガービール社がWWFの野生のトラ保護活動への6年間のパートナーシップを表明
・消費者参加型のセルフィーキャンペーンで、保護活動への啓もう活動を展開
・ブランドアイコンの図柄を商品ラベルから削除した特別パッケージを販売

 

 

' 3890 '

 

WWFによれば、現在世界に生息している野生のトラは3890頭。過去1世紀の間に、10万頭から96%も減少しているのだそうです。

 

その主な原因のひとつとして挙げられているのが、トラの違法な取引です。違法に取引されたトラは、東洋医学の薬やアクセサリーなどの装飾品、インテリア用品、毛皮製品などに加工され販売されています。

 

 

このようなトラの違法取引や生息個体数が激減している現状についての気づきと理解を深めてもらい、野生のトラを保護する取り組みの一つに、WWFが主導している' Tx2 'があります。

 

 

2010年に3200頭程度まで激減していた野生のトラの個体数に危機感を抱いた、野生のトラが生息する世界の13か国とWWFは、干支で次の寅年にあたる2022年までに生息個体数を倍にするという目標を掲げて、' Tiger × 2倍 'を意味する' Tx2 'というグローバルタイガープログラムをスタートさせました。

 



Picture: Screenshot WWF Tx2 Official Page

 


そしてこの' Tx2 'プログラムに賛同し、プログラムへの6年間にわたる全面的なバックアップを、100万米ドルの寄付とともに表明したのがシンガポールなど東南アジアを中心にアメリカやイギリスでも多くの人に親しまれている' タイガービール 'です。

 

 

1932年に製造・販売が開始されたタイガービールは、オランダのハイネケン社とシンガポールのFraser and Neave社の傘下にあるアジア・パシフィック・ブリュワリーズ社が製造販売しています。

 

同社は、シンガポールのみならずマレーシア、タイ、カンボジア、ベトナム、中国、スリランカ、インドなどアジア太平洋各地の醸造所を展開しています。

 



Picture: Screenshot Tiger Beer Official Website

 

 


タイガービールのラベルにはもちろんトラの絵がデザインされています。

 

 

同社にとって大切な存在であるトラの悲惨な現状を憂いたタイガービールはWWFのプログラムに賛同し、「Can you imagine a world without tigers? / トラのいない世界なんて想像できますか?」というキャッチフレーズの元で、' #3890TIGERS ' という名前のデジタルキャンペーンを展開しています。

 

 



Picture: Screenshot Tiger Beer Official Facebook Page

 

 


キャンペーンは、タイガービールの誕生地であるシンガポールで2017年5月31日にスタートしました。

 

その後、マレーシア、カンボジア、中国、香港、ロシア、アメリカ、ニュージーランドでも随時展開されています。

 

 

今回のデジタルキャンペーンの中心となっているのは、消費者を巻き込んでのセルフィーキャンペーン。

 

撮影したセルフィー写真を公式サイトでアップロードすると、世界の著名なアーティストの作品とAIを利用して自動的にコラージュされた、世界に一つだけの画像が生成されます。

 

 



Picture: Screenshot Tiger Beer Official Facebook Page

 


コラボレーションすることができるアーティストは、中国のHua Tunan氏、フランスのMademoiselle Maurice氏、マレーシアのKenji Chai氏、ロシアのNootk氏、イギリスのNick Gentry氏とアメリカのTranNguyen氏の6人となっています。

 

キャンペーンに参加したい人は、ハッシュタグ#3890Tigersをつけて作成した写真をSNSなどでシェアすることで、世界中の誰もがこの活動に賛同を表明し、サポートすることができるようになっています。

 

そして今回のキャンペーンは、' Global Tiger Day / 世界トラの日 'である2017年7月29日まで実施されています。

 

 


さて、このセルフィーキャンペーンだけでなく、タイガービールはもう一つ思い切ったアクションを起こしました。

 

それが、ブランドの歴史84年間の中で初めて、商品パッケージからアイコンであるトラのデザインを外すという決断です。

 

期間限定ではありますが、世界に野生のトラが地上からいなくなってきているという危機感を示すために、限定パッケージでの販売を行うのだそうです。

 

 


最後に、今回のキャンペーンのPR動画もあわせてご覧ください。

 


" #3890tigers Tiger beer + WWF  "

 

 

 

https://youtu.be/u4ec--2sBDw

 

 


※#3890Tigers Official Website
https://3890.tigerbeer.com/en

 

※Tiger Beer Official Website
http://www.tigerbeer.com/

 

 

 

※ニュースソース

 

※mumbrella Asia
http://www.mumbrella.asia/2017/05/tiger-beer-uses-selfie-campaign-raise-awareness-illegal-tiger-trade/

※PR Newswire
http://www.prnewswire.com/news-releases/tiger-beer-and-wwf-join-forces-to-fight-illegal-tiger-trade-300465265.html

※Ad News
http://www.adnews.com.au/campaigns/tiger-beer-and-wwf-join-forces-for-animal-protection

※Marketing Interactive
http://www.marketing-interactive.com/tiger-beer-joins-forces-with-wwf-to-tackle-illegal-tiger-trade/

 

 

 

■編集後記■

 


 

読者の皆様、こんにちは。

 

スゴい★PR編集担当の秦泉寺 明佳です。

 

 

野生のトラの個体数がここまで激減していたという事実、読者の皆様はご存知でしたでしょうか?

 

私は、今回の記事を書くまでその事実を知りませんでした。

 

IUCN(国際自然保護連合)のレッドデータブックには絶滅寸前種(CR)などに指定されている、種族存続の危機にある野生動物や植物がたくさんあるということは知っていましたが、動物園に行けば、たいていいつでも眺めることのできるトラもその一種だったとは。

 

 


さて、私が来月から住むハワイでは、実はウミガメに触ることはNGという州法があります。

 

ウミガメ(ホヌ)は、ハワイでは大切な保護動物となっているため、例えば泳いでいる時、ビーチなどでたまたまウミガメに遭遇することがあっても、決して触れてはいけないのだそうです。

 

近年、ウミガメのふ化、保護活動に積極的に取り組んでいるハワイ。その成果も少しずつ出てきているようです。

 

 

今回もお付き合いいただきありがとうございました😍!

 

 


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