大のオトナが精神科に来ては「職場の◯◯とウマが合わない一緒に働きたくない」と訴えることは珍しくない。病院は職員室じゃないし、精神科医はあなたのママじゃない。精神不調になりやすい人は異常レベルで人の好き嫌いが激しい。好きな人としか口を利きたくないなどと平気で言ったりするし、些細なことで「傷ついた傷ついた」と騒ぎ立てる。そのくせ不機嫌になるのもあっという間。社会生活が上手くいかないのも当然である。

健全な人は他者の良いところや尊敬できるところを探し当てるのに長けており「業務はキツいが仲間一緒だから頑張れる」と口をそろえる。人に恵まれたと何度も繰り返し、周りに感謝する。具合の悪くなりがちな人とは真逆なのだ。

真実は「人に恵まれた」ではなく、人に恵まれる行動を自分が重ねてきた結果、人に恵まれるタイプの人が集まってくるのである。類は友を呼ぶということだ。この二極化が、今職場のメンタルヘルスを二分している。人的資源管理が優秀な職場とそうでない職場は天国と地獄ほどの差になっているのだ。

不平不満、悪口や批判ばかりが垂れ流される職場は心理的に汚染され、働く人たちの精神を蝕む。他者の気に入らない部分にばかり敏感な人ばかりが集まるようになり緊張が立ち込め居心地は最悪。そういった職場では教育は放棄され、人に揉まれ成長する機会もない。教育が為されない職場は淘汰される。

一方、他者との関わりが「気持ち良いもの」と教育を受けてきた者は、人の良いところを探し出し、良い組織をもっと良くしようという意識が自然に働き、所属社会への貢献を意識した関わり方を模索し続けるうち、類友の効果で、組織そのものが自浄機能を持ち、どんどん良くなっていくのである。