人間関係の過敏性脆弱性の高い人は確実に増えている。簡単に「嫌いな人」を作り、他者に対する不平不満がやたら多く、些細なことに「いらっとし」情緒不安定となり具合が悪くなる。「嫌い」をやたら作ると人は具合が悪くなるということを知らずに大人になったようなのだ。

そういう厄介な性質は薬を飲んだら改善するものでは決してなく、家庭教育の問題である。食べ物の好き嫌いより人の好き嫌いが人生を左右することを親がちゃんとわかっていれば、子どもにそのような躾や対処法を教えるだろう。そういうことをわかってない親は子どもに何も教えず、そんな子どもは気の毒なことに武器を何も身につけぬまま大人になり仕事をするようになる。社会適応、すなわち複雑な人間関係を対処する能力を身につけぬまま大人になってしまったのである。

不平不満を垂れ流したり、文句を言ったり噛みついたり、怒りをぶちまけたりして幸福感を感じる者はいない。それどころか不快感と自責、自己嫌悪に苛まれるのがもっぱらだ。そういうことを繰り返すうちにそもそも未成熟な自己肯定感が更に擦り減っていくのである。

他人の中に、わざわざ苦手な部分や「許せない」気持ちを自ら作り出し、自ら不快感を作り味わっては具合が悪くなる思考行動様式は遅くとも思春期までに治しておかねばならない。でないと「適応障害」と診断され、休職復職を何度も何度も繰り返し、ついには働けなくなってしまうのだ。