精神の具合が悪い理由を「病気のせい」にすると何故だめか。自分の不適応原因を放ったらかしにするからである。ADHDなどはその典型。ADHDに限らず、そもそも精神の病気は薬を飲んでいれば良くなるものではない。社会適応の部分で症状が強く出るからである。そこのところを説明されている人は極めて少ない。

多くの患者は社会適応つまり、会社の人間関係や仕事の「なんやかんや」に苦痛や不快感を感じ、それを処理しきれず具合が悪くなっている。こういう患者は自分の処理能力や対処能力を上げない限り、具合が良くなることはない。こんなことは誰かに説明されなくてもわからなければ困る話なのだが、わからない人が多過ぎて、漫然と薬を飲み続けるだけでどんどん具合が悪くなっていくのである。

とても重要なことだが、全く同じ状況でも具合が悪くならない人が同じかそれ以上存在することを忘れてはならない。病気というのは原因に暴露された場合、圧倒的多数の人が調子が悪くなる、そういうレベルのものである。具合が悪くならない人が7割8割といった「職場のなんちゃらかんちゃら」は病気ではない。

この論理が理解できない人が、「自分は病気だから苦しい、病気だからできない」と決めつけ、薬さえ飲んでいれば良くなる、薬が楽にしてくれると勘違いし、薬漬けの泥沼にはまるのである。それでも良くなれば構わないのだが、良くなるどころかどんどん悪くなるからダメなのだ。

会社や学校での「なんたらかんたら」に苦痛や不快感を感じるのなら、そこが具合が悪くなる一番の原因である。苦痛や不快感を生みだす理由が何なのか。そこを明らかにし、改善することが治療であって、よくわからない薬を漫然と飲み、好き放題な生活をすることを治療とは言わない。

虫歯の治療は痛みを消すことではなく、腐った歯を取り除くことだということは小学生でも知っているだろう。