誰の目にも違法とわかる働き方を強要されながら、貯金がないことを理由に会社を辞められない若者が猛烈な勢いで増えている。東京で月給20万では生活していけない。もちろん貯金もない。その状況で退職すると収入が途絶えるため家賃もスマホ代も払えなくなる。だから辞めたくても辞められない。まさにブラック企業の思う壺である。

辞めたくても辞められないということは、自己コントロール感を失った状態なので当然精神の具合が悪くなり精神科に来ることになる。流石にこれは不味いというレベルの症状が出ている患者に、休職を勧めても「できません」という。「生活できなくなっちゃうんで」。もちろん薬が効くような事態ではない。違法レベルの労働を強いられているのだから、それを停止しないことには病状は良くならない。

具合が悪くなる原因を改善できない場合、薬物療法は何の役にも立たない。睡眠薬ですら効かないことが多い。彼らは不本意な働き方を余儀なくされているばかりか、この先自力で生きていけるだろうかという不安に支配され、しかし親にも友達にも頼れないと考えるため、自分ではどうにもできない事態に途方に暮れ、違法だろうが、そのままの生活を続けるしかないというのが現状だ。