詐欺師と言うべき精神科医は「病気と診断されたい」という消費者ニーズに応えている。あろうことか消費者が欲しい病気を売っている。ひと頃それはうつ病だったが、近頃は発達障害。精神科外来には連日「発達障害と診断されたい人」が物凄い数訪れ、発達障害と診断されることを切実に希望している。診察と検査の結果、発達障害ではありませんよ、などと言われようものなら烈火の如く怒り狂うか、泣き叫ぶといった凶行に及ぶ者も少なくないことは、色々な先生が本に書いて出版しているので興味のある人は読むと良い。問題は、何故これほど発達障害が人気を集めているかという点である。同じ病気でも、悪性腫瘍や神経の難病と診断され喜ぶ者は一人としていない。普通はガックリ肩を落とし、失意のあまり泣くことも忘れるくらいなのに。

本当の病気というのは、間違っても、病気と診断されなかったことに怒り狂ったり、恨み言をいうものではない。まずは病気ということで落胆する。苦しかった痛かった原因がわかったとしても、だ。そもそも病気とはそういうものなのだ。精神病でも統合失調症と診断され喜ぶ者はいない。そんな現実を受け止められず困惑するのが専らであり、間違っても「やっぱりそうだったか、よかったよかった」と笑顔で喜ぶ者などひとりもいないのである。ところが発達障害はうってかわって「診断されたい」消費者がものすごくたくさんいて、まるでお金で病気が買えるとでも思っているみたいに、希望通り売って貰えないと怒り狂う。そういう消費者ニーズに応えるべく、正式な診断手続きを無視し、簡単にADHDと診断する医者がものすごく増え、またひとつ精神科医療に闇を作ってしまったのである。

「トー横キッズ」は他人事じゃない!