「今日は帰りたくない」

学校の帰り道

同級生のT子に

そう言われた

残念ながら

いや

残念でもないが

愛の告白ではなかった


同棲中の彼氏と

喧嘩中とのこと

馬鹿馬鹿しいカップルの痴話喧嘩に

付き合うほど暇じゃない

カッコいい決め台詞で

クールに踵を返して

山手線ホームに

向かいたかったのだが

あいにく

暇だった…


わたしとT子は

新宿の居酒屋で

夕方の五時くらいから

うだうだと

飲み始めた

T子は

のっけから彼氏の愚痴を

口角泡を飛ばす勢いで

発狂に近いテンションで訴えている

誰に?

まあ。わたしにか…

わたしのテンションは

徐々に下がっていった

二時間近く経過した頃

T子は言った

「ねえ、納豆と靴下どっちがくさい?」

えっ?

わたしはこの掴みどころのない質問に

答えなければいけなかったのだ。

「どっちもどっち」

わたしはそう答えた。

なるべくフェアになるように。

しかし

T子には伝わらなかった。

「何いってんのよ!くさいのは靴下でしょ!」

T子は再び発狂した。

T子の熱弁は止まらなくなった。

「アイツわたしが納豆を食べてると怒るのよ!くさいくさいって。だけどさ、わたしはアイツの靴下の匂いの方がくさいと思うわけよ。わたしがそのことを言ったら、靴下の方がいい匂い。とかいっちゃってさ。わたしの目の前に自分の履いた靴下をぶらぶらさせるのよ。もうわたしカンカンになったわよ!だからさね、いま彼と喧嘩中なの」

わたしは最後までT子の愚痴を聞いた。

そして

もう一度わたしは言った。

「どっちもどっち」

T子は、もはや酩酊状態で

わたしの声は聞こえていないらしく

「気持ち悪い」

と言って、トイレに駆け込んだのだった。


T子と別れて

帰路に帰る途中

わたしはしみじみ思った。

わたしの彼氏の素晴らしさよ!


活字中毒(katsuji-junkie)わたぼうでした!


ボクくさくないよ!byカメ吉グラサン


では

また来る日まで

ばいばいー✋飛び出すハート飛び出すハート飛び出すハート飛び出すハート飛び出すハート飛び出すハート飛び出すハート飛び出すハート飛び出すハート飛び出すハート