人のきもち。ずっと考えた。貴子は次の朝が来るまで、そのことをずっと考えていた。幸か不幸か、邪魔するものは現れなかったから。例えば、カナコとかママとか。だからか余計に考えた。
『人のきもちって。こんなにも考えないと分からないものなのか。それがほんとに人のきもちをわかるということなのか』貴子は、行き着くとこまで行ったと思った。人のきもちは、人から指摘さるものじゃない。人のきもちというのはいちいち考えるものじゃない。
もう、知ってるし。
自分なりに感じてますとも。人のきもちを。
だけどそれは間違って捉えてしまうこともある。だから、それを知った時は。
ものすごく悲しくなるんだ。
またやってしまったか、自分。
貴子は、ソファー代わりのように腰かけていたベッドの縁から立ち上がり、やむなく支度を始めた。洗面所に向かう途中、冷蔵庫の扉に無造作に貼られたカレンダーを無意識に見た。
8月25日。夏休みも終わりだ。そう思ってから貴子は急に焦りだした。宿題のことを思い出した。簡単なレポートだった。そして自分が高校生であることも思い出す。忘れてしまいそうだった。夏休みは、厄介で切ない。
厄介で切ない。今度はそれを呪文のように唱える貴子だった。
…続く…
こんにちは!
活字中毒(katsuji-junkie)わたぼうです
わたくしも今、思い出した。学生の頃の夏休み終盤を。えーっと。いやはや、これほんとにリアルに思い出せるわ。高校生の時の夏休みはフツーの休みと違うんだよね。なんかさ、ちょうど大人と子供の間って感じもあり、一皮むいちゃう子もいたりしてさ。だけど夏休みの終わり頃には大抵ちゃんと我に返るんだよね。戻って来ない子もいたけど。人のきもちは厄介で切ない。貴子にとってはこれも宿題っぽいなぁ。と、勝手に想像しているわたぼうでした