跡形もなく姿を消した花嫁。
誘拐なのか、駆け落ちなのか、それとも彼女の気まぐれなのか。

結婚式で花嫁を奪い去り颯爽と駆け落ちていくシーンは、
あらゆる光景の中で最も美しい。

ただし、新郎を代表とするそこに取り残され立ちすくむ人々の気持ちは、
あまりに哀れで情けなく、いたたまれない。

圧倒的な幸福は、誰かの圧倒的な不幸の上で成り立っているのである。

これはある人にとっては石ころのように無価値な、
またある人にとっては宝石のように価値ある、
幸福で残酷な物語である。