【読書日記】日本語とは、特異な言語である。-「二重言語国家・日本」
おはようございます。
本日の1冊はコチラ↓
「二重言語国家・日本」 石川九楊 中公文庫
日本語は、難しい。
外国の方はそうおっしゃいます。
われわれからすると、
英語をはじめとする外国語に、
とっても苦労しているのですが・・・
お互いに苦労する理由。
それは「日本語が特異な言語である」
ためかもしれません。
本書では、日本語の特徴を分析し、
その成り立ちから現代までの歴史より、
日本および日本人論を展開しています。
日本は変わった国です。
ルース・ベネディクトの『菊と刀』の中で、
「日本人ほど不可解な国民はなかった」
と言っています。
サミュエル・ハンチントンの『文明の衝突』
では、「日本文明」として紹介されています。
外国、特に西洋諸国から見たら、
日本はとても特異な国なのです。
その中心が、日本語であることは、
疑う余地はありません。
西欧を中心として、
世界の多くの言語は表音文字です。
文字は音を表し、その組み合わせによって
意味を持ちます。
日本語は、表意文字です。
文字そのものが意味を持っていて、
話す・読むの間でも意味合いが変わる
特徴を持っています。
書字中心言語は、東アジア文化圏、
特に中国や韓国でも同じです。
その軸になっているのは、漢字です。
朝鮮語はハングルを持っていて、
日本語は平仮名・片仮名を持っています。
こうした文字の形成の中に、
それぞれの文化が成り立っている。
本書のこの展開は興味深いです。
これは本文中に紹介されている、
柄谷行人氏の言葉ですが、
文字が思考を決めるという考え方は、
新鮮な言葉に聞こえます。
もともとは、中国から入ってきた漢語を
一般的に用いていました。
それが平安時代になると、平仮名が完成し、
女性の言葉として使われるようになります。
「男もすなる日記といふものを、
女もしてみむとてするなり」の書き出しで
紀貫之が『土佐日記』を著しました。
これは、10世紀の話です。
そして片仮名は、漢文の和読に使われ、
徐々に浸透していったと言われています。
二重言語が成立して以後の日本は、
鎌倉~江戸時代まで武士の時代となります。
江戸末期になると、西欧の文化が入り、
それを和製の単語にしたり、
片仮名で表記したりしました。
片仮名を用いる比率は徐々に高まり、
現代では一般的になっています。
これはある意味、日本語の特異性を
滅失させる現象ともいえます。
もしかすると、日本が失いつつあるのは、
言葉なのかもしれません。
本書では、日本語の再編や教育について、
強いメッセージを発しています。
今でも「今年の漢字」を一文字で表し、
日本全体で共有しています。
昨年は「絆」が選ばれ、誰もが納得し、
日本の連帯を確認しました。
やはり、漢字には強い力が秘められ、
私たちはそれを感じています。
ちょっと過激な部分はありますが、改めて
「日本語とは何か?」
「日本人とは何か?」
を考えさせられる本です。
英語の勉強も重要ですが、
コミュニケーションの根幹となる
日本語もぜひ興味を持ってみては
いかがでしょうか。
本日の1冊はコチラ↓
「二重言語国家・日本」 石川九楊 中公文庫
日本語は、難しい。
外国の方はそうおっしゃいます。
われわれからすると、
英語をはじめとする外国語に、
とっても苦労しているのですが・・・
お互いに苦労する理由。
それは「日本語が特異な言語である」
ためかもしれません。
本書では、日本語の特徴を分析し、
その成り立ちから現代までの歴史より、
日本および日本人論を展開しています。
日本は変わった国です。
ルース・ベネディクトの『菊と刀』の中で、
「日本人ほど不可解な国民はなかった」
と言っています。
サミュエル・ハンチントンの『文明の衝突』
では、「日本文明」として紹介されています。
外国、特に西洋諸国から見たら、
日本はとても特異な国なのです。
その中心が、日本語であることは、
疑う余地はありません。
『日本語の特異性は、ひとつには、書字中心言語であること、第二には、漢字=漢語と平仮名=和語と、つけ加えれば、片仮名=西欧語さえも併せもつ、二重、多重性言語という構造の中にある。』(P39)
西欧を中心として、
世界の多くの言語は表音文字です。
文字は音を表し、その組み合わせによって
意味を持ちます。
日本語は、表意文字です。
文字そのものが意味を持っていて、
話す・読むの間でも意味合いが変わる
特徴を持っています。
書字中心言語は、東アジア文化圏、
特に中国や韓国でも同じです。
その軸になっているのは、漢字です。
朝鮮語はハングルを持っていて、
日本語は平仮名・片仮名を持っています。
こうした文字の形成の中に、
それぞれの文化が成り立っている。
本書のこの展開は興味深いです。
『おそらく、こうした文字の形態が根本的に、「日本人」の心理・思考の形態を規定していると思います。世の中には、いろんな「日本人論」があります。日本的心理とか、あるいは日本的な思考といった事柄があれこれいわれていますが、そういうものは重要ではないと、私は思っています。むしろ、それは、漢字仮名交じりという表記法に由来する問題だと思うのです。』(P108)
これは本文中に紹介されている、
柄谷行人氏の言葉ですが、
文字が思考を決めるという考え方は、
新鮮な言葉に聞こえます。
もともとは、中国から入ってきた漢語を
一般的に用いていました。
それが平安時代になると、平仮名が完成し、
女性の言葉として使われるようになります。
「男もすなる日記といふものを、
女もしてみむとてするなり」の書き出しで
紀貫之が『土佐日記』を著しました。
これは、10世紀の話です。
そして片仮名は、漢文の和読に使われ、
徐々に浸透していったと言われています。
二重言語が成立して以後の日本は、
鎌倉~江戸時代まで武士の時代となります。
江戸末期になると、西欧の文化が入り、
それを和製の単語にしたり、
片仮名で表記したりしました。
片仮名を用いる比率は徐々に高まり、
現代では一般的になっています。
これはある意味、日本語の特異性を
滅失させる現象ともいえます。
もしかすると、日本が失いつつあるのは、
言葉なのかもしれません。
本書では、日本語の再編や教育について、
強いメッセージを発しています。
今でも「今年の漢字」を一文字で表し、
日本全体で共有しています。
昨年は「絆」が選ばれ、誰もが納得し、
日本の連帯を確認しました。
やはり、漢字には強い力が秘められ、
私たちはそれを感じています。
『日本民族や日本人というのは、漢字と仮名文字によって統合される言語にもとづく概念である。(中略)また日本語は、島嶼民の話し言葉そのものでもなく、文字(漢字と仮名文字からもたらされる文)によって再編、創造された言語の別名である。』(P222)
ちょっと過激な部分はありますが、改めて
「日本語とは何か?」
「日本人とは何か?」
を考えさせられる本です。
英語の勉強も重要ですが、
コミュニケーションの根幹となる
日本語もぜひ興味を持ってみては
いかがでしょうか。
皆さんの応援で元気が出ます(´∀`)♪