私はアサリ、名前はミラクル

 

 

この人」が、

警察署で亡くなった子豚の「ミラクル」の名前をそのまま私に付けたの。

子豚のミラクルは養豚場から「奇跡的に」逃げ出した勇敢な子だったんですって。

 

 

私の仲間は「この人」の家に連れて来られた時に私を含めて59人いたの。

 

 

1日「砂抜き」されて翌日の夕方に生きたまま茹でられる予定だったんだけど、

この人」が私たちを水槽に移したの。

 

 

その時「この人」は実の父親に「キチガイ」とか「気が狂ってる」とか散々言われたけど、

「絶対助けるからね」と何度も言いながら、

人工海水の素を買って来たり、

砂を買って来たり、

私たちのご飯を買って来たりしたの。

 

 

この人」の最も尊敬する人の1人であるピーター・シンガーも、

私たち「二枚貝は食べる」らしいのだけれど、

この人」のは揺るがなかったの。

 

 

この人」の信念は"Follow your heart."だそう。

頭でなく心に従え」ということらしい。

 

 

でも4日目に1人亡くなった時は泣いていたから、

きっと辛かったんだと思う。

父親にも理解されず

誰からも応援されず、

私たちを大地に帰す作業は辛かったんだと思う。

 

 

そして10日目には、

私1人を除いて全員が亡くなってしまったの。

 

 

その時「この人」が私をミラクル(奇跡)と名付けたの。

 

 

今日で「この人」の家に連れて来られてから3週間経ったの。

 

 

いつもはこんな風に砂に潜っているんだけど、

 

 

1週間に1回だけ「この人」によって掘り起こされるの。

 

 

私たちは亡くなると筋力みたいなのが失われて貝が開くのだけれど、

中には貝が開かないまま亡くなっていく子もいるし、

砂に潜っていると人間からは生きているかどうか分からないらしい。

 

 

だから「この人」は1週間に1回私を掘り起こして匂いを嗅ぐの。

私たちは亡くなると急速に腐敗臭を出すから確認するんだって。

今朝も「この人」は私の匂いを嗅いで安心してた。

そしてフィルターを止めてご飯をくれた。

私たちは海水中からプランクトンなどを濾して食べるから、

すぐにパクつくわけではないんだけれどね。

 

本当はここは私の故郷ではないのだけれど、

とりあえず私には居場所ができたから、

私の命が続く限りここにいることになると思う。

 

私たちは人間に捕られなければ、

本当は7〜9年も生きるの。

 

この人」は、

私をそれだけ生かすらしい。

 

私は、

私は私たちが普段やっているように、

命が尽きるまで一生懸命生きようと思う

 

また続きは後でお話ししますね。

 

 

 

 

 

※参考までに過去の投稿をあげておきます。