光合成ウミウシが激減し、

危機的状況に陥っていることを知っていますか?

2018年7月24日のNATIONAL GEOGRAPHICの記事からです。

 

 

米東海岸沖で見つかるエリシア・クロロティカという名のウミウシは、

藻類から光合成のための葉緑体を奪い、

太陽光を浴びるだけで長い期間生き延びられるという特殊な生態を持ちます。

 

 

これは考えたらすごいことです!

生命には普通一定のルールやパターンがあるものです。

例えば、

植物は太陽エネルギーを活かせるため、

動き回る必要がありません。

一方、

動物光合成という素晴らしい能力を持たないゆえに、

走ったり、這ったり、羽ばたいたり、

植物を探して食べたりしなければならないのが普通です。

つまり,

動物は普通光合成をしたりしないのです。

それがルールのはずです。

光合成は植物の役割だということが。

 

 

ですが、

そんなルールなどお構いなしの小さなウミウシ

それがテングモウミウシなのです!

米東海岸沖に生息するこのウミウシは、

学名をエリシア・クロロティカ(Elysia chlorotica)といいます。

彼らはただ藻類を食べるだけでは満足しません!

植物が太陽からエネルギーを得るための分子レベルのエンジンを、

藻類から奪うのです。

葉緑体と呼ばれる極小の装置を取り込むことで、

彼らはエメラルドグリーンの皮膚を持つに至ります。

 

 

2.5㎝から5㎝ほどの小さな葉っぱのようなこのウミウシは、

9カ月以上もの間、

食物を摂取しなくても生きていけることがわかっています。

太陽の光を浴び、

奪った葉緑体で光合成をするのです。

「個性的で、物議をかもす存在で、つかまえにくく、小食

ハリウッドセレブのようなものです」と、

米ロサンゼルスにあるカリフォルニア州立大学(UCLA)の生物学者、

パトリック・クルーグ氏は言っています。

葉緑体を奪い、

いくらか光合成できるウミウシは他にもいますが、

エリシア・クロロティカほどうまくやれるものはいないそうです。

そうした理由から、

動物と植物の間のようなこの生物は、

免疫学や遺伝子治療などをはじめ、

さまざまな分野の科学者たちから注目を浴びています。

しかし、

(というかだからこそ!)

エリシア・クロロティカの生息数がいまどんどん減少しており

数少ない専門家たちも、

ほとんどが手を引いたり異なる分野に移ったりしているそうです。

 

<謎だらけのウミウシ>

 

 

エリシア・クロロティカについて、

これまでにわかっていることはごくわずかです。

今のところはどうやって体内で葉緑体を働かせているかすら謎です。

藻類葉緑体を働かせるには、

何千もの遺伝子によってつくられる特殊なたんぱく質が大量に必要だそうです。

ウミウシは、

そうしたたんぱく質をほとんど持たないようです。

ただし、

このあたりに関しては未だ議論もあるそうです。

それに、

光合成は、

動物であれば許容できないはずの大量の活性酸素をつくりだします。

どうしてウミウシは平気なのでしょうか。

 

 

他にも謎はあります。

なぜ葉緑体ウミウシの消化器官で分解されないのでしょうか。

なぜ葉緑体は異物なのにウミウシの免疫システムに攻撃されないのでしょうか。

どのようにしてウミウシ葉緑体と生化学的な相互作用を行っているのでしょうか。

 

 

米サウスフロリダ大学の名誉教授、

シドニー・ピアース氏のチームは、

このウミウシを調査してきた研究者たち同様、

ウミウシの希少性を考慮して、

正確な生育場所は公表していません。

最近になって、

かつては見つかったメーン州の場所をいくつも探してみたものの、

いずれも無駄に終わっているそうです。

 

 

↑まるで葉っぱのようなこのウミウシも、

発見するのが非常に困難になってきているそうです。

 

<1カ所でしか見つからない>

 

エリシア・クロロティカを見つけることは

「難しいです。とても難しいです」と、

メアリー・ルンフォ・ケネディ氏は述べます。

彼女は何十年もの間このウミウシを研究し続けてきましたが、

何年も前に引退しました。

「どこを探すのか、何を探すのかがはっきりわかっていないと、見つかりません」

と同氏は言います。

西海岸のウミウシを多く研究してきたUCLAのクルーグ氏は、

マサチューセッツ州ウッズホールで探したことがありますが、

やはり見つからなかったそうです。

彼が主に研究しているのは、

エリシア・クロロティカに近いアルデリア (Alderia) 属のウミウシだそうです。

彼らはエリシア・クロロティカと同じ藻類を食べ、

同じように塩沼に生息します。

塩沼とそこにすむ生物は、

海面レベルの上昇、

温暖化による気候変動、

そして開発によって大きな影響を受けるのです。

 

 

人々が考える以上に、こうした生息地はもろくなっている可能性があります」

とクルーグ氏は言います。

同氏が言うには、

塩沼で生物の生息数を調査した報告は1つもないそうです。

さらに、

エリシア・クロロティカの成体は1年足らずで命を終えます。

卵から孵ってしばらくは水中を泳ぎまわり、

何種類もの藻類を食べます。

ですが亜成体になると、

バウチェリア・リトレア (Vaucheria litorea) という

別の種類のを食べるようになります。

このは、

生育が遅いそうです。

 

 

が育つより早く、

ウミウシを食べてしまうのです」と、

30年以上彼らを研究してきたピアース氏は言います。

「食べ盛りの子どもたちのようなものです」

 

 

ウミウシがどんな方法で葉緑体を維持しているのだとしても、

未だ知られざるやり方で、

藻類の遺伝子やそれらがつくり出すものを利用しているに違いありません。

以前ピアース氏が率いた研究では、

ウミウシの遺伝子の中に藻類から取り込まれた遺伝子があると示唆されました。

ヒトなど他の動物とも関連しうる驚くべき業です。

しかし、

ルンフォ氏のグループやヨーロッパの一部の研究者は、

この結論に対して懐疑的だそうです。

米ラトガース大学の研究者、

デバシシュ・バタチャラヤ氏が率い、

学術誌「Molecular Biology and Evolution」に発表された研究では、

エリシア・クロロティカ葉緑体を取り込んだときに

免疫システムを抑える遺伝子を発現させ、

活性酸素のストレスを受けたときには

ストレスを減らす遺伝子を活性化させることが示されたそうです。

これらのパターンは、

サンゴと藻類との共生関係で見られるものに近いそう。

バタチャラヤ氏は、

他の多くの研究者同様、

エリシア・クロロティカの研究が続いてくれることを願っていますが、

彼自身がそれを行う予定はないそうです。

彼は言います。

「問題は、

彼らが希少な生物であることなのです」

 

 

私としては,

もう研究を続けてほしくありません。

 

もう充分でしょう!?

 

希少であろうがなかろうが,

もう彼らを放っておいてほしい。

 

どんな動物からも

人間は手を引いてほしい。

 

私の犬や亀でさえ,

いつの日か,

首輪やリード,

ケージなどに妨害されず,

誰の所有物でもなく,

人間からも危害を加えられない,

自由な生活を送らせてあげたい。

 

本当は牛や豚や鶏を放ち,

動物園や水族館の生き物も故郷に帰してあげたい。

 

今はそれができないとして,

どうして野生生物ぐらい,

放っておいてあげないのでしょうか。

 

人類は毎日毎日罪を重ねていく。

 

いつか必ず報いが来る。

 

人間は自業自得だからいいとして,

もう罪のない動物を巻き添えにしないで下さい。

 

 

 

本日2本目の投稿も最後までお読み頂き,

ありがとうございました。