あなたは「池田瑛紗」というアイドルを知っているだろうか。


ちなみにボクは、お披露目されたその一瞬で、どこかミステリアスでエキゾチックな顔立ちの池田瑛紗に惹かれた。




昨今、個性的なアイドルが目まぐるしいスピードで誕生している。
けれど、気づくことはないだろうか。
「歌声がわからない」
ということに。
そう、なにせ約20名ほどの集団で歌うものだから、個人の歌声はよっぽどのことがない限り分からないのである。
昭和のアイドルが大好きなボクは少し寂しく思えるのだ。
せっかくこんなに個性的で可愛らしくて才能のある子たちが沢山いるのに、歌声がわからないなんて寂しいな。そんなことを常々思っていた。
そんな時に現れたのが

新乃木坂スター誕生

という、昭和平成(たまに令和)の楽曲を、乃木坂46の一番新しいメンバー、5期生がカヴァーするという企画である。

5期生の加入によって乃木坂に戻ってきたボクはこの企画のおかげで最初から彼女たちの歌声や表現力を含めて好きになることができた。毛利忍プロデューサーには感謝している。


そこで、1人、あまりにキュートで個性的で、まるでポップスの神様に愛されたかのような歌声を持つ彼女と出会った。

名前は池田瑛紗(イケダ・テレサ)

「瑛紗」と書いて「テレサ」とよむ珍しいこの名前を正しい読み方で読んでもらったことがないらしい。

ちなみに由来は「特にない」そう。

語感の良い美しい響きは彼女にぴったりだと思った。

愛称は「てれぱん」「てれさ」と「レッサーパンダ」を掛け合わせて「テレッサーパンダ」略して「てれぱん」そんな趣である。ちなみに名付けは5期生最年少15歳の小川彩さんである。


そんな瑛紗さんがカヴァーした曲こそが

サディスティックミカバンド「タイムマシンにおねがい」1974

である。元々ガールポップやロックの似合うキュートな歌声をしていたから、タイムマシンに〜は合うのではないかと密かに思っていたのが実現した。

深夜2時の池田瑛紗というテーマを持って挑んだという彼女のタイムマシンは、想像をはるかに超える素晴らしいパフォーマンスだった。

後ろに従える5期生のメンバーとの楽しそうな掛け合いもさることながら、センター適正も同時に開花したように思えた。

なにより、2002年に生まれ、今年二十歳の集いを迎えた池田瑛紗が、1970年代に現れたとんでもないロックバンドの曲を令和に歌っている。これは奇跡のようなことではないだろうか。

そして、弾けるように舞う池田瑛紗のヴォーカルは、本当にタイムマシンにおねがいして、令和にアイドルになるであろう池田瑛紗に歌ってもらうために、加藤和彦が予めプログラミングして作られた曲なのではないかとすら思えた。


彼女はプロ級の画力を持ち、加入前は美大を志していたとても聡明な人である。けれど、独自の世界を持っていて、不思議な一面がある。そこが魅力から抜け出せない要因なのかもしれない。

そんな瑛紗さんの世界と、タイムマシンの歌詞の世界が見事に一致した、いわば奇跡の瞬間である。

そんな彼女の画力がこちら初めて瑛紗さんの絵に触れた時、写真と絵の境を失った。


2023年1月6日に乃木神社で行われた乃木坂46の成人式での池田瑛紗。

自身が絵画さながらの造形美を発揮していることに、本人は気づいていないのだろうか…。

池田瑛紗に振袖。鬼に金棒に代わることわざを発明した。

緑色は穏やかで目に優しく、そして美しい色。彼女にぴったりだ。

未来を改めて感じた瞬間でもあった。

タイトルの通り、もうそっちの世界へ逝ってしまった高橋幸宏とずっと前に逝ってしまった加藤和彦にも、ハタチの時があり、また若い時代があったのだ。それがきっと、サディスティック・ミカ・バンドなのだと思う。

失うもの。変化するもの。すべてを受け入れて生きていくことの難しさを痛感する。



ミカの個性的なオノヨーコ風味のヴォーカルも、桐島かれんの大人っぽいヴォーカルも、木村カエラの圧倒的パワフルヴォーカルも最高だけど、池田テレサの最高にキュートなヴォーカルがとても良い。

カタカナ系のお名前というのもピッタリである。

ユキヒロさんがもしも回復されたら、4代目ヴォーカルとしてサディスティック「テレ」バンドを結成していただきたかった。

彼女のヴォーカルに合わせてドラムを叩くユキヒロさんが見たかった。

きっと感慨深そうな笑顔を浮かべただろう。

けれどもう、トノヴァンのところへ行ってしまったのだね。


だから、そっちにいる2人に池田瑛紗のタイムマシンにおねがいを捧げる。

これから彼女がどんな才能を開花させるのか、これからもそっと見守っていきたい。




この記事で紹介した楽曲

タイムマシンにおねがい (1974)

サディスティック・ミカ・バンド

作詞・松山猛 作曲・加藤和彦

ミカバンドはなんと言っても若くて瑞々しい高橋ユキヒロのドラムプレイが堪能できるから素晴らしい。

YMOでの功績は説明不要な今こそ、サディスティックミカバンドの高橋ユキヒロとして、心に留めておきたい。