細野晴臣の音楽は無邪気だ。

その飄々としていて気ままな歌声に救われる時がある。


一夜が明け、メディアや著名人が各所で報道する記事やコメントが溢れている。

いくら功績を讃えても、本人には伝わらないのにね。と心の中でつぶやいた。


ショック、悲しい、好きだったのに、すごい人だった…等々

散見される人々の反応。

その人たちにとってはその日の1つのニュースでしかないのだろうなぁ。

自分もそうだったからよくわかる。

明日になればまた新たな違う情報が入ってくるし、1週間もすれば忘れてしまう人さえいるかもしれない。

自分もそうだったから、何も言えない。

考えが尽きなくなってニュースサイトを閉じる。

SNS消しといてよかったな。

嫌でも目に入るから。


伝えたいことは、生きてるうちに。


会いに行けるうちに会いに行く。


感謝の気持ちはすぐに伝える。


これができる生き方をしていきたい。

なぜなら上記のことはひとつも出来ず、その人は旅立ってしまったから。

ただ一つ、たった一つ残されたボクにできることがある。

それは

「高橋幸宏という存在を伝えていく」

ということ。

昭和の時代から平成の時代、そして彼がが活躍した50年よりもずっとずっと浅い令和。

やがてはその50年よりも長く時代が進んでしまうだろう。

そんな時、当たり前のように人々の心に

「高橋幸宏」

を存在していてほしい。

例え平成に生まれようが令和に生まれようが、高橋ユキヒロのライディーンに心を躍らせ、高橋幸宏の唯一無二の歌声が響く以心電信に胸を弾ませてほしいのだ。


それが、唯一残されたボクに出来ること。

なのではないだろうか。

一夜明けだからこそ思えること。

明日はまた違う発見があるのかもしれない。

正直今の自分では力不足すぎるし、どれくらいのことができるのか、限りがあるかもしれない。

けれど

「好きだから聴いて!」

という風味で自分らしく伝えていける気もしているのだ。

事実関係や功績や裏話を伝えていくならばたくさん、やってくれる人がいるだろう。

けれど

「こんなに素晴らしいから、きみにも聴いてほしい」

と純粋な愛を伝えることができたなら、1人でもその音楽との出会いをプレゼントできるかもしれない。

ゆっくり、ゆっくりやっていこう。


昨日は、ご自身がどんな想いで闘病生活を送られていたか、奥さまがどんな想いで寄り添われてきたか、考えが及ばなかった自分を恥じている。

50周年ライヴの出演が叶わぬまま、新譜も出せぬまま逝ってしまった。

どんな辛く苦しい思いをしていたのだろう。

その時、ユキヒロさんの見ていた空の色は何色だろう。

抜けるような青空は、もう見られないのかな。

「明日」が当たり前のようにあるなんて、決して思えないし、思いたくない。

ボクに「明日」がどれほど残されているか未知数だが、もし残っているのならば、それを使って薔薇色の明日を迎えてほしかった。

大好きな声と、音源の中でしか会えないなんて、やっぱり淋しい。

その音源すら、ボクは聴けない。

YMOのアルバムを聴こうと思ったが、ドラムの音があまりにもユキヒロさんのままだから、手を止めた。


だからボクは細野晴臣に助けられる。

これほど淡々としていて、人の心に入り込み過ぎない、「楽曲」が際立つヴォーカルの持ち主は細野晴臣以外に存在しないのではないか。

それくらい稀有な音楽家である。

彼は今どんな気持ちでいるのか、計り知れない。

細野さんならば言葉でなくても伝えることができるだろう。その日が来るまでじっと、ゆっくり待っているよ。


ユキヒロさんとはYMOが結成されるずっと前の学生の頃から知り合いで、一緒にお茶漬けを食べたというエピソードが微笑ましい。



「終りの季節」

という楽曲がある。これは「終末思想」を想起して書かれた楽曲だそう。


「デッド・カームな状態。終末思想。この曲は、終末妄想の歌なんだよ。」

「HOSONO BOX 1969-2000」ライナーノーツより


この曲はもう何百と聴いているが、聴くたびに発見がある。

昨夜聴いた時は、不覚にもきみは大丈夫!と寄り添ってくれたように感じた。

知ってる曲なのに初めての感覚だった。

歌詞にでてくる通り

「救われる気持」

になった。

ありがとう。Haruomi!



2人でいる時が大好きだったなぁ。

いつも笑顔でふざけて本当に楽しそうだったから。



一番下に歌詞とオリジナルヴォーカルの音源、そしてリメイクヴァージョン(インスト)の音源を置いたから、ぜひ聴いて、読んでみてください。

ここは一応ラジオ局のつもりだから、曲をオンエアしないと淋しいもんね。

インストはどうしても音楽聴けない時にありがたい。

YMO好きな人は、インスト好きだよね。




矢野顕子さんの歌声は心にそのまま入ってくる優しさがある。

母性というものが存在するならばこのことを言うのかもしれない。

細野晴臣&矢野顕子 終りの季節





終りの季節

作詞・作曲 細野晴臣


扉の陰で 息を殺した
かすかな言葉は さようなら
6時発の 貨物列車が
窓の彼方で ガタゴト
朝焼けが 燃えているので
窓から 招き入れると
笑いながら 入りこんで来て
暗い顔を 紅く染める
それで 救われる気持


今頃は 終りの季節
つぶやく言葉は さようなら
6時起きの あいつの顔が
窓の彼方で チラチラ
朝焼けが 燃えているので
窓から 招き入れると
笑いながら 入りこんで来て
暗い顔を紅く染める
それで 救われる気持