お話は、脳の中の幽霊の正体?

(お断り:家内への自慢話ではありません、れっきとした、脳神経科学のお話です。)

 

家内とのある日の会話より。

家内は70才手前で、陶芸教室に通い始めました。

自分の経歴を隠して、ギャラリーのオーナーおばちゃんとして^―^。

先生はその筋の方なら、誰もが知っている高名な陶芸家。

プロでありながらも、更に上の道を目指す人も通う教室です。

 

「先生、今日はなにをしましょうか?」

「これを、磨いてください。」

テーブルの上に、誰が挽いたのか轆轤挽きのカップが、載せてあったそうな。

(なんと、上手な轆轤挽き。誰が挽いたのだろうか???と、内心思ったんだそうです。)

「先生、このカップどなたが挽かれたのですか?」

「これくらい挽き引き上げられるのは、あんたに決まっとるやろが?」

(はっ!として思い出したらしい。自分で挽いて忘れていたのです。)

帰宅して。

「上手な轆轤。どなたが挽いたのですか?と言わないで良かった~~~」

ケラケラ笑いながら、“勘違い”を喋ってくれました。

(ちなみに、家内の得意とするのはタタラ造りと言って粘土の板を組み合わせて作るもので、本人は轆轤挽きが嫌いで上手とは自分で思っていない。)

(話題のカップではないのですが、家内の最近焼成した小鉢)

 

誰でも脳の中には、幽霊が住んでいるそうです。

見ているモノはシナプスという神経回路を伝い脳に伝達され、それから複雑な手順で意味として翻訳されるらしい?

結果として脳は、一つのものを見て同時に2つのモノを見るらしいです?

 

☆彡対象物が何かを分析分別する、「これは何か?」を見る視線。

☆彡対象物をどのようにイメージして判断するかという、「如何に」観るかの視線。

 

この「如何に」こそ、動物が古代から身につけてきた古い「能力」だそうです。

後者は古い能力と呼ばれ、主に動物が危険を回避するために発達させたものだそうです。

(v・sラマチャンドラン&サンドラ・ブレィクスリー:脳の中の幽霊・角川書店より意訳抜粋)

人という種は、この能力を発達させて生態系の頂点へと昇りつめた?

突き詰めれば視覚で捉えたモノからのイメージ(印象)とは、発想力ではないかと思っています。

(題名:まだ見ぬ海の話を。今は創作をやめられていますが、この人の世界のメルヘンは心に届けられるものがあると感じます。)

 

モノを捉える視座から、モノをイメージする回路へと脳のどこへと飛ばすのか?

これが千差万別で、人の発想へと繋がるのでしょうか?

 

先生のお教室には、様々な人が通っているらしい?

個人レッスンなので、教室に通う生徒が互に顔を合わせることがないそうです。

(このことは先生が、教室に通うすべての生徒に合わせた指導をしていると理解します。そして生徒の個を見抜く力のすごさを、感じます。)

たぶん、生徒へのレッスン内容はすべて違うと感じます。

(N●Kアートシーン2021より。土器の名称として火炎式土器と呼ばれています。口の造形が縄文人の炎のイメージと命名者は感じたから?番組出演者は現地を訪れ、それが水を表現したようにも思えるとコメント。イメージとはつながる回路によって、さまざまに変化するのでしょうね。)

 

家内の場合。

先生の1回2時間のレッスンの間に、実技は30分程度。

後は、お茶飲んで世間話^―^

家内に今必要な事とモノ。

事・モノとは、人生に向き合う姿勢なのかなぁ?

(同じくアートシーンより。自分の子どもを食らい自分の存在を維持する作家自身の心象の世界。描き切れる精神力の迫力は、圧倒するものがありますね。)

 

人生のゴールに向かい残された日々をどのように過ごすか?

それが、私たちの年齢になると意識することの一つなのかもしれません

感性を形にする。

モノつくりは、無から有を作り出す行為。

過程に大事なことは、想いの形成?

先生は家内の中の課題として、それを中心に据えたのかなぁ?

簡単に言うと、40年近く培った家内の陶芸の常識をすべて捨てさせられて再構築に入つた?

 

土(つち)物は磁器と違い薄く挽くな。

トンボという計測器は使わない土量の1個挽き。

轆轤はゆっくりと、挽け・・・etc

 

結果。

確かとは言えないけど無機物に見えていた轆轤挽きが、有機物の様に表情が出てきたような…?

確かなことは言えません。

言えることは、自分が家内を利用して?自分の熟成の糧としていること。

月謝は、ただですから(笑)

最期に。

センセの到達した境地とは?

物事はすべて2面性を持っている

月と太陽、表と裏。

言い訳や自己正当性は、要らない。

そぎ落とした先にあるものは、実にシンプルなもの。

自分の中で、何かがポトリと落ちる音を聞いたような・・・?