僕は冬の間、ずーっと水炊きをつくり続けます。

スープは昆布だしをベースにかつおだしを足した、ごく一般的な和風だし。面倒なときは顆粒のだしの素を使うこともあります。

具の方ですが、少量のトリ・豚・牛肉、麩、高野豆腐、油揚げや厚揚げ、そして春菊や水菜などの葉物野菜。あとはこんにゃく、ちくわ、おでんに入れるような練り物系が大半です。

これを、ポン酢にゆず胡椒を加えたタレでいただきます。

……と、ここまでは普通の水炊きですね。

あえて違いをいうならば、高野豆腐(普通の豆腐は煮込むとボロボロに崩れるし箸でつまみにくい)を使うことと、麩を大量に使う事ぐらいでしょうか。

麩は植物性タンパク質の塊です。カロリーも低いし、だしを良く吸ってとても美味しい。普通の麩もいいですけれど、車麩などを使うと歯ごたえがあって楽しめます。

ああ、そう。最近は仙台麩も良く使います。どのような製法かは詳しく知らないけれど、多分麩を油で揚げた物だと思います。香ばしくて歯ごたえもしっかりしていて、けっこう肉の代用になるんですよ。

水炊きをつくる時のポイントは、塩分を濃くしないこと。味付けはポン酢とゆず胡椒(案外しょっぱい)で十分です。
そして、練り物以外はあまり煮込み過ぎない事。豚肉はしっかり煮ますが、鶏肉や牛肉はサッと火が通ったあたりで手早く頂きましょう。同様の理由で、葉物野菜もあまりコトコト煮込むと栄養も損なわれるしグチャグチャになってしまいます。


しかし、さすがに毎日水炊きでは飽きますね。そこで、この水炊きをベースにどんどん味を変えてゆくのが「万能鍋」のポイントなのです。