マンガの中の鍼灸 その10 ~ぼくの体はツーアウト~ | もぎすのブログ

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思ったこととかマンガの感想とか趣味の話を書くところです。

ゴールデンウィークを言い訳に完全にほったらかしてしまいました(笑)

 

なんやかんやでマンガの中の鍼灸のシリーズも2ケタに突入です。今回はこれです。

 

「ぼくの体はツーアウト」

ぼくの体はツーアウト 1巻 表紙

 

「ぼく、オタリーマン」などで知られるよしたに先生が、健康診断を受けて、

「尿酸値」「コレステロール値」が基準値を超え、これで「血糖値」が超えると動脈硬化を起こしやすくなり、最悪死ぬよ!と宣告され、まさに現状ツーアウトな状況を改善すべく、

 

世の中にあるいろんな健康に良いとされるものを実際試してみて、それをマンガにする、

まさに体をはったルポマンガです。

 

 

その中で、3巻では鍼灸治療を受けに行く回があります。

 

まず最初によしたに先生の鍼のイメージが

ぼくの体はツーアウト 3巻 P.94

 

小さい頃母親が受けてた皮内鍼の記憶。ホンマにコレなら確かに鍼すげえ!(笑)

 

枠外に注釈で

「置き針は数ミリしかありません」

とちゃんと書かれてます。そらそーだ。

あの位置であんだけ刺したら余裕で肺まで到達してます。

 

 

そんなワケで鍼灸治療を受けにいくことになったワケですが、

診察を受けていざ施術になるんでけども、、、

ぼくの体はツーアウト 3巻 P.97

 

事前に調べていたよしたに先生は、鍼は痛くないもんだと思って受けて見たら、

思ったより痛かったらしい。

まぁ場所的に「後渓」?なんで切皮痛は確かに出そうなとこではありますが、

ぼくの体はツーアウト 3巻 P.98、101

 

脚とか背部とかでこんなに痛みを感じさせるてのはどーなの?

 

痛みに関しては主観的な部分が大きいのでなんとも言えませんが、

ここまで痛いと思わせるんはどーかなー。

これが切皮痛なのか、鍼の響き感なのかでも意味合いが変わってはくるんですが、

マンガなのである程度は誇張して描いてるとは思うんですけど、

にしてもちょっとこれは印象悪いよなー。

 

そして鍼の刺し方も、最初の手に刺すのは鍼管が描かれてますが、

他の場面では描かれてないので、この辺がちょっと不安定。

まぁ腰とかは刺してるとこは見れないしねぇ。

 

 

あとお灸も受けたみたいで、

ぼくの体はツーアウト 3巻 P.102

 

お灸は熱いけど気持ちよかったようです。

 

んで最後に治療効果はどーだったかというと、

ぼくの体はツーアウト 3巻 P.104

 

ここで刺した時は痛くなかったのかな?(笑)

でも首の可動域が改善して効果を実感できたようです。

 

治療終わった後も、

ぼくの体はツーアウト 3巻 P.105

 

こんな感じで他の人から見ても、首や肩が変化してるのが見て取れたようです。

 

しかしその後

ぼくの体はツーアウト 3巻 P.106

 

1週間後にはだんだん症状が戻ってきてる様子。まぁ実際こんなもんですが、

よしたに先生も

「また行った方がいいんだろうなー」

 

まぁでも、ちょっと次のセリフがリアルなコメントですよね。

 

「針みたいな辛い思いしないで楽になる方法ないかなー」

 

まぁ、あそこまで痛がらせちゃったらなかなかもう一回行こうとは思わんよね。

 

 

こーいう思いをして鍼灸治療を受けなくなっちゃった人はそれなりの割合いると思うんですよね。

だからこそ

「鍼は痛い」

「お灸は熱い」

「効果はあるとは聞くけど、受けたいかと言われたらちょっと...」

 

というイメージが付きまとうんですよね。

 

 

今回のこのよしたに先生の描いたものが

 

「鍼をすげー痛そうに描きやがって!けしからん!!」

 

なんて言う気は毛頭ありません。

 

むしろ、

「鍼灸師のみなさん、これが現実です。」

 

と施術者側に言いたい。

 

2015年の日本マンガ学会でマンガの中の鍼灸について発表した時の考察の部分でも述べたんですが、

マンガで描かれてるものは、我々鍼灸師から見ればあり得ない描写がほとんどでも、

鍼灸の一般的なイメージてのはこんな感じなんですよ。

 

なので、悪いイメージはどーにかして払拭しなくちゃいけない。

 

まだ救いなのは

「効果はある」

と思ってもらえてるところ。

 

施術者はやはり良い面と悪い面、どちらも説明する義務があると思うので、

そこをどう伝えるか。

ネガティブなイメージを、どうポジティブなイメージに置き換えられるか。

 

かといって劇的に変わった!とかやると逆にうさんくさくなるのでほどほどに。

その辺の魅せ方ですね。

 

 

この本は比較的手に入りやすいと思います。新品でも中古でもわりと見つけやすいと思います。

同業の鍼灸師がこれを見てどう思うかが気になるところ。読んでみてほしいねぇ。

 

内容的にもいろんな健康法をよしたに先生の

偏見にまみれた?(笑)独自の視点から描かれているので、

なかなかおもしろいです。

 

興味のある方はぜひ。