第16話「動機」
桑島「私が…親友であるスギを殺そうとした…というんですか?」
桑島は悪い冗談を言われたという感じで半笑いである。
阿弥「桑島さんは…高校を中退されてどちらでお仕事を?」
「……なるほど…たしかに、自動車整備工場で働いてましたけど…」
たしかに桑島には、スギの車に細工をすることは容易かった。
しかし…
「じゃあ…親友を殺そうとした動機は何だと言うんですか?」
「桑島さんのご家族は、高木由麻奈の父親に恨みを抱いていましたね…」
「亜実から聞いたんですか?」
「はい…」
「たしかに、高木の娘と交際していたスギのことを複雑に思ってましたよ。
……ですが、そんな理由で親友を殺そうとなんて思いませんよ?」
阿弥から見ると…桑島は、何か余裕があるように感じられた。
でも、桑島がこのような返しをしてくることは阿弥は計算済みであった。
「親友を殺そうとする訳ない…ですか?」
阿弥はニヤッと笑いながら言った。
「では…とある目的のために…スギくんと親しくなった…だとしたら?」
「………!!」
阿弥は桑島の顔から余裕がなくなったのを感じて嬉しくなった。
「フフフ…桑島さんが高校受験をされる頃には…既にお父様は、高木さんから土地を譲れと迫られていたようですね?」
「……それが!?」
「圧倒的な財力で迫ってきた高木さんに勝つためには?
…あなたは、そう考えたはずです。」
「………」
「そんな時にスギくんのことを知ったんですよね?」
「なぜそれを!?」
桑島はドンとテーブルに手をつくほど興奮した。
「私も…なぜ、高木さんは由麻奈とスギくんの交際を猛反対していたのか?
海外に由麻奈を留学させてまで引き離そうとしたのか?
……ずっと気になっていたんです♪」
「………!!」
阿弥はなぞなぞが解けて嬉しそうな子供のような顔で…
「それは…スギくんと由麻奈が腹違いの兄妹になるから…」
「………」
「スギくんのDNAを調べたら…高木さんに繋がっちゃいました♪
そりゃ、交際はおろか…近寄ることも許したくないですよね~♪」
「……くっ!!」
桑島は阿弥から視線を逸らす。
しかし、阿弥は続けた。
「……桑島さんは、高木さんの愛人の息子であるスギくんに近づくために…親友になったんですよね?
つまり…親友である前に、あなたにとってスギくんは仇の息子だった…」
「……たしかに、最初はそのつもりだった……。
でも!!」
「……そうですね。スギくん自身には何も罪はないですもんね?」
「うっ!!……」
桑島はうつむき、歯を食いしばっていた。
「最初は仇の息子だったスギくんと、本当の親友になっていった…。
……でも、あの日……」
つづく
この小説のようなものは、あくまでもスギマンの妄想であり、登場人物とか家族構成とか関係性は全てフィクションです(笑)
最近…寝落ちが酷くてごめんなさい…(((^_^;)
では、また(^ω^)