第14話「業火に焼かれて」
スギ「亜実~!!」
スギは再び「KOAMI BAKERY」に戻ろうとした。
阿弥「スギくん!!」
そんなスギの左手を阿弥は掴んで離そうとしない。
「だって、亜実が!!」
「何を言ってるの!?あの女はスギくんのことを…」
「………」
たしかに亜実はスギのことを殺そうとしたのかも知れない…。
でも…このままでは!!
そんな葛藤をしていたスギの目の前で…
「地獄へ堕ちればいいんだわ…」
阿弥がボソッと呟いたのを、スギは聞いてしまった。
その瞬間…スギは力ずくで阿弥の手を振りほどき、走り出して行った。
「スギくん!?」
あろうことか…風が強く吹いてきたせいで、火は瞬く間に大きくなっていった。
「亜実~!!」
スギはまず亜実が大事に育てていた花たちがある庭先に向かった。
そこで花に水を撒くときに使っているホースが付いてる水道の蛇口を捻った。
しかし、この程度の水では消せるような炎ではなくなってたので…
スギは全身にホースから出てくる水をかけて、服や体を濡らすと…そのまま炎の中へと入って行った。
さっきまでカフェへ食べに出ていたおかげで、ポケットには綺麗なハンカチが入っていた。
ハンカチで口を塞ぎながら、ひたすら亜実を探した。
「亜実…」
亜実は2階の寝室に居た。
亜実は床に正座したような姿勢のまま…
2人で寄り添いあって撮った記念写真の入った写真たてを見つめながら…大粒の涙を流していた。
「亜実!!」
亜実「……スギくん……!?」
亜実はとても驚いていた。
まさかスギがこんな業火に焼かれたこの部屋に戻ってくるなんて思っていなかったからだ。
「どうして!?」
「やっぱりそうか!!」
「え!?」
スギは亜実に近づき、力一杯に抱き締める。
亜実の体は周りの炎に照らされていたからであろう…とても熱くなっていた。
「スギくん…ダメだよ…このままじゃ…」
亜実は泣きながらスギから離れようとする。
しかしスギは亜実を離さない。
「俺を殺そうとしていた亜実が、この写真を観ながら泣いているのはオカシイ!!」
「………」
スギは亜実の両肩に手を乗せながら両腕を伸ばし、亜実の顔を見つめながら…
「……違うんだろ?」
「………うん」
亜実は力なく頷いた。
「じゃあなんで!?」
「……復讐だから…」
「え!?」
「私は…思い通りになんて…ならない……」
亜実は遠い目をしながら呟いた。
スギには亜実の言ってることが分からなかった。
「とりあえず…早くここを!!」
しかし亜実は首を横に振る。
「私はここに残るわ…スギくんは早く逃げて!!」
「亜実!!」
「……じゃあ、俺もここに残る!!」
「スギくん!?」
「どうせ俺は3年前に死んでるんだ。
……亜実に助けてもらった命。
亜実と一緒なら…悔いはない…」
「……スギくん…」
亜実は再び涙を流しながらスギに抱きついた。
スギも涙を流しながら亜実の髪を撫でていた
一方その頃…
外から消防に電話をした阿弥だったが、
先程から吹き始めた強風のせいで、火事が他でも発生しているらしく…
消防車がなかなか来ない状況に焦っていた。
「早く……このままじゃ……!!」
阿弥の祈りも空しく…
…ついに炎は出入口付近を焼き始めてしまった。
つづく
この小説のようなものは、あくまでもスギマンの妄想であり、登場人物とか家族構成とか関係性は全てフィクションです(笑)
途中で寝落ちしてしまいました…(((^_^;)
更新遅れてごめんなさい…(´;ω;`)
では、また(^ω^)