第8話「由麻奈」
亜実「……何なの!?何が目的なの!?」
亜実が阿弥を睨みつける。
阿弥「フフフ…私はスギくんとお話がしたいだけよ…」
亜実とは違い、阿弥は余裕のある顔で答える。
あきらかに亜実は動揺していた。
阿弥はそんな亜実を後目に、スギに近寄り…
「とりあえず、お店に入れてくれないかな?ここで話していても良いけど…周りに聴かれたら不味いと思うよ?」
スギは阿弥から視線をそらして亜実を観る。
亜実は小刻みに震えていた。
(たしかに…ここで騒ぎになっても近所の迷惑になるだけだし、何よりも亜実をこの場所に立たせておくのも気の毒だ。)
スギ「……分かった。中に入って君の話を聞こう。」
「フフフ…ありがとう♪」
店内に1席しかないテーブルに、スギと阿弥は向かい合って座った。
亜実はスギの隣に座った。
まず口を開いたのは阿弥だった…。
「スギくん…私はあなたを探してたの…」
「え?……俺を?」
「……スギくん…昔のこと…覚えてる?」
「…………。」
「……だよね?私の顔を観ても、全く分からなかったもんね…。」
「え!?」
阿弥はバッグの中から1枚の写真を取り出した。
「……この…子は?」
「この子が本当の高木由麻奈よ。」
亜実は由麻奈の写真を観ると、静かに涙を流しだした。
「私は…由麻奈の親友なの」
「由麻奈…さんの?」
「そう…そしてね、スギくん…」
「……やめて!!」
亜実が阿弥の発言を邪魔しようとする…
しかし、阿弥は亜実の声よりも大きな声で…
「由麻奈はあなたの恋人だったの!!」
「え!?………」
そう言うと…もう1枚の写真をスギに見せた。
その写真は、スギと由麻奈…そして阿弥の3人が寄り添って写っていた。
「スギくんは大学で由麻奈と知り合ったの。私達…3人でよく遊んでたんだよ…」
「う……う……」
亜実が大粒の涙を流して泣いていた。
しかし、阿弥は容赦なく続けた。
「でも、由麻奈は有名な企業の1人娘で、ご両親はあなたとの交際を許してなかったの…」
「俺が……その子と!?」
「そう。それである日…ご両親は、由麻奈を突然留学させることにしたの…」
「……!?」
「海外に行って離れ離れになれば、若い2人のことだ…他に好きな人が出来るだろうと思っていたみたい…」
「そんな……」
「しかし…スギくんはご両親が思いもよらない行動に出たの…」
「え!?」
「それは…由麻奈が留学する予定だったあの日…」
つづく
この小説のようなものは、あくまでもスギマンの妄想であり、登場人物とか家族構成とか関係性は全てフィクションです(笑)
次回もスギたちの過去を阿弥が語ります(((^_^;)
では、また(^ω^)