前回のリンク先
749 【妄想小説?】「抱きしめられたら」第14話。
過去のリンク先
カテゴリー「小説のようなもの」一覧からご覧下さい( ・∇・)
それでは…スタート!!
妄想小説?「抱きしめられたら」
第15話「5年前」
「いやぁ~めでたいめでたい…」
亜実の父であるおじさんが、顔を赤くしながらグラスのビールを飲み干す。
テーブルの傍らには、笑顔の亜実の写真が入った写真たてが置いてあった。
「これも亜実ちゃんのおかげですよ…」
おじさんと一緒に飲んでいる40歳くらいの男性が写真の亜実を見ながら言った。
「ハルカのような娘を持って小林さんは幸せだよ…」
おじさんは、ハルカの父である小林のグラスにビールを注いだ。
「ありがとうございます…でも、ハルカがアイドルになれたのは…やっぱり亜実ちゃんが居たからですよ…」
「ありがとう…」
おじさんは照れくさそうに頭をかき、そして顔は赤いが真面目な顔をして…
「でも…いいのかい?」
「……何がです?」
「ハルカはなんで…わざわざ亜実の名前でデビューしたんだ?」
小林は…「あぁ…」と言いながらグラスを机に置くと…
「ハルカは…亜実ちゃんの夢の続きを私が継ぐんだ…って言ってました」
「ハルカにとって、アイドルの鯨井亜実は、やっぱり憧れのお姉ちゃんなんですよ…」
小林がこう言いながら…おじさんを観ると…涙を腕の袖で拭いていたので…
「ホラホラ…鯨井さん!今日は笑顔でとことんハルカのデビュー祝いに付き合ってくれる約束ですよね?」
と言いながら、グラスにビールを注いだ。
「あぁ…そうだったな…ありがとう」
と笑いながら鯨井はビールを飲んだ。
目の前の自然公園の木々に夕日が沈もうとしている。
そんな夕焼けをぼおっと眺めているハルカ。
ハルカはスギマンと最後に会った日のことを思い出していた。
今から5年前…ハルカが中学1年生の時だった。
ハルカは鯨井と2人で、スギマンの住む町にやって来た。
しかし…久しぶりにスギマンに会えるというのに…とても辛い気持ちであった。
……スギマンのばあちゃんが亡くなったからである。
2人はばあちゃんの告別式にやって来たのである。
スギマンは…唯一の家族を失ってしまった。
案の定、スギマンはずっとうなだれていた。
それでも喪主として、立派に務めている姿にハルカは感動していた。
しかし…町会長さん夫婦やばあちゃんの友達らを送ったあと、2人も帰ろうとした時だった…。
昨日の通夜から寝ていなかったからか…告別式が終わったあとにスギマンは倒れてしまった。
すぐに救急車を手配し、鯨井とハルカも乗り込んだまま…駅前の病院に向かった。
「ずっと寝てなかったんじゃないんですかね…これは倒れても仕方ない…」
医者が呆れながら、1日安静にしてれば大丈夫だと言うので、鯨井はスギマンを入院させることにした。
「ハルカ…おじさんはスギマンの入院の手続きと…ハルカのお父さんかお母さんに電話してくるから、スギマンの様子を見ててくれ」
と言い残して病室から出ていった。
ハルカは疲れきって眠るスギマンの顔を眺めていた。
「かわいそうに…」
そう言いながら、スギマンの頭をなでた。
「でも…よくがんばったね」
と言いながら微笑む…
すると…
「お姉ちゃん…ごめん」
と言ったあとに、眠るスギマンの唇にそっとキスをした…。
つづく。
この小説のようなものは、あくまでもスギマンの妄想であり、登場人物とか家族構成とか関係性は全てフィクションです(笑)
危うく毎日連載を止めてしまうところでした…(((^_^;)
では、また(^ω^)