地図は現地ではない | ツナガリズム〜ABNLPトレーナー 杉山賢一のブログ

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NLP、◯づけ、コーチング、コミュニケーション心理学、言語と行動の科学

The map is not the territory





日本語では
「地図は現地ではない」
と訳されます。


元々はコージブスキーという人が
一般意味論について書いた
論文に出てくる言葉です。


NLPでは「地図は領土ではない」
と訳されていることが多いようです。


「地図」というのは
人が五感を通して入ってきた情報から、
現実を認識するために
使っているパターンのことです。


「現地」というのは
現実の出来事や事象を表します。




人間の脳というのは、
周囲の環境でのあらゆる事象を、
様々なフィルターを通して
認識、記憶していて、
現実そのものを記憶していません。


無意識の領域では
かなり多くのことを
記憶はしていますが、
その大部分は
表面化させることが
難しいでしょう。


それを言葉で伝えようとすると

さらにズレが出てきます。


つまり、

人は現実の事象や出来事を
言葉で表そうとしますが、
「言葉は現実ではない」
ということです。



例えば、
「犬を見た」
という言葉を聞いても、
柴犬をイメージする人もいれば、
チワワやゴールデンレトリバーを
イメージする人も
いるかもしれません。


子犬かもしれないし、
複数の犬を想像した人も
いるかもしれません。




また、
全く同じ場所に居て、
同じものを見ていても、
人によって見るところが違います。



こんな実験をしてみてください。


友達でも家族でもいいんですが、
数人でやってみてください。


今いる部屋の中を30秒間ほど見て、
部屋の中にあるものを
なるべく覚えてください。


そのあと、
みんなでどこに何があったのか、
覚えているものを
言い合いっこしてみてください。


なるべく具体的に。


きっと、皆さんは

「そんなのあったっけ?」
「場所が違うんじゃない?」

というように、
覚えているものや
詳細な部分について
違いがあることに気付くはずです。



何を優先的に覚えておくか
ということも
脳内の地図によって、
取捨選択されているんです。




実は、脳というのは
もの凄く怠け者なので、
目の前に見えるものを
ありのままに見ていません。

そのほとんどを
記憶の中に元々あるものを
使って認識しています。


その中で必要ないと
判断したものは削除し、
同じようなものを
知っている場合は一般化し、
既に記憶の中にあるものと

勝手に関連づけて歪曲します。


脳がこのように怠けるのは、
目や耳に入ってくる情報の

全てをインプットするには、
もの凄いエネルギーが必要になるので、
全てをありのままに
処理することができないからです。


よく脳は実際の能力の3~5%しか
使っていないと言われています。


もし100%使ったとしたら、
数秒で餓死してしまうそうです。



脳は知っていると認識した情報は、
脳内の記憶にある情報を見せています。


例えば、
あなたのお父さんやお母さんの顔を見て、

「こんなに白髪が多かったっけ?」

「なんだか急にシワが増えたかな?」

なんて思ったことはないですか?



自分の子供を見て

「あれ?うちの子って、 いつの間に

 こんなに 大きくなってたんだ?」

とか。



親なり子供なり、
特に身近な人を見る時は、
記憶の中にあるその人の
イメージを再現しています。


そして、

本当に意識的にその相手を見た時に、
記憶の中にあるイメージと
現実とのギャップに気が付くんです。




これは視覚だけではなく、
聴覚や触覚、嗅覚、味覚にもあります。


食べ物の味も、
意識して味わって食べれば、
いろんな違いに気付くでしょうが、
普段は記憶の中にある味を
その食べ物の味だと
思い出しているだけです。


実際に目を閉じて、
それが何か分からないようにして、
誰かに食べ物を口の中に
入れてもらってください。


よほど変わった味や
触感のものでなければ、
何を食べたか分からないものが
あるはずです。



つまり、
自分の地図にある情報と
照らし合わせることができず、
現在地がどこか分からないのです。



NLPには
相手の使っている「地図」を
知るためのスキルがいくつかあります。


僕のセミナーでは
そのようなスキルを教えています。


あなたがそれを学んで
身に付けることも、
もちろんできます。


でも、その前に
もっと大事なことがあります。


それは、

「自分の地図と相手の地図は違う」

ということを認識しておくことです。



相手がどんな「地図」を使っているか、
すぐには分からないとしても、
自分とは違う「地図」を使っている
ということを認識していれば、
こちらのストレスも少なくなり、
コミュニケーションの質は
随分と変わってきます。


解釈の仕方は人それぞれだ
ということを前提に
他人と接していれば、
いちいちその違いに腹を立てたり、
落ち込んだりしなくても
良いということです。





ちょっと、難しかったかな?


これを読むよりも実際に来て、
見て、聞いて、感じてください。


体験してみるのが
一番分かりやすいと思います。

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