かたあしだちょうのエルフ (おはなし名作絵本 9)/ポプラ社
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思いがけないラストに感動する“木”の絵本

『かたあしだちょうのエルフ』

文・絵/おのき がく

ポプラ社

 

思いがけず心打たれる本と出会えると、その物語を書いてくれた作者に感謝したい気持ちになります。この絵本の作者、おのきがくさんにも「ありがとう」を言いたい。こんなにも、ひとのこころのかなしさを伝える物語を書いてくださって。かなしさ……いえ、「悲しい」物語ではありません。一匹のだちょうが秘めている、他者への無償の愛情。あたりまえのように他者に手を差し伸べる、深い思いやり。

 

ものがたり

エルフは強くて大きなオスのだちょう。子どもたちはエルフと遊ぶのが大好きでした。エルフも大好きでした。ある日、動物たちの村をライオンが襲います。みんなを助けようと戦い、ライオンを追い払いますが、エルフは片足を食いちぎられてしまいます。ケガをしたエルフはエサをとることができません。最初はエルフのところにエサを運んでくれていた、仲間の動物たちはやがて自分の生活に戻り、エルフはひとり、空腹に耐えて過ごすことになりました。どんどんひからびていくエルフ。ある日、今度は黒ヒョウが動物たちに襲いかかりました。エルフは……?

 

どんなに孤独になっても、命ある者は他者をいたわれるのだと、守ることができるのだとエルフの行動から知ることができます。

あとがきには、作者のおのがきさんが、まるで天から降ってきて言葉を書き写したみたいな、創作のエピソードが描かれています。この絵本は、神秘的な出来事の中から生まれた物語なのです。