ニーベルンゲンの指環 (〔4〕) (ニーベルンゲンの指環 4)/リヒャルト・ワーグナー
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『ニーベルンゲンの指環』

1ラインの黄金 

2ワルキューレ 

3ジークフリート 

4神々の黄昏

リヒャルト・ワーグナー/作 寺山修司/訳

アーサー・ラッカム/絵 新書館

    

北欧神話を題材にとった作品として、筆頭はこの『ニーベルンゲンの指環』でしょう。

今年生誕200年を迎える作曲家ワーグナーのオペラ。英雄シグルズ(ジークフリート)の物語をモチーフとした序夜から全4日間の荘厳な楽劇です。

ワーグナーは北欧神話の世界に夢中になり、26年もの歳月をかけて、このオペラを創りあげたといわれています。自分の世界に没頭する…そんな人生を私も送ってみたい。

    

さてこの物語。キーワードは“指環”です。

ライン川の黄金で作った指環を持つ者には無限の力が与えられるという神秘の指環。

たった一つの指環が発端となり、英雄ジークフリートをめぐる悲恋物語へと展開されていきます。

物語の合間には、魔女や妖精や鍛冶師などが出てきては問題を起こし、さまざまな登場人物が数奇な運命をたどることとなります。

不老不死のリンゴを守る女神も神ヴォーダンも、北欧神話からとられた人物です。

結局、英雄ジークフリートをめぐって起こる、愛と憎悪のやりとりは、壮絶な結末へと向かうのですが、さながら壮大なスペクタクル映画を見るようです。

    

寺山修司さんが訳していますが、あとがきのエッセイが秀逸です。

とくに10歳のときに体験したという、ワーグナーの曲を聴きながら死んでいった祖父のエピソードは、のちの寺山修司さんを創りあげたのではないかと思える文章です。

挿絵がアーサー・ラッカム。少々恐ろしさも感じる、神秘的かつ官能的な絵によって、一千年以上も前に描かれた北欧神話がこの世に蘇り、音楽が鳴り響くように感じられるのです。