天の火をぬすんだウサギ (児童図書館・絵本の部屋)/ジョアンナ・トゥロートン
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勝利をつかむ知恵とは

『天の火をぬすんだウサギ』

ジョアンナ・トゥロートン/文と絵

山口文生/訳 評論社



火はどこから来たのか、知っていますか?

昔、この地上には火がなくて、どこもかしこも寒かったそうです。

でも、山の上には火があって、守っていたのは、天の人たち。

寒い冬がやってきたとき、森の動物たちは考えました。

天から火をとってこようって。

じゃあ、だれが火をとってくる?

クマやオオカミやヤマネコなどが候補にあがったけど、

結局、いちばんかしこくて、足が早いウサギが行くことに決まりました。

さあ、ウサギはどんなふうに火をとってくるのでしょうか。

ここからがウサギの知恵の見せどころ!



山の上までのぼってきたウサギを見て、天の人たちは口ぐちにいいました。
「あいつはいつもわるさばかりする。みんな、だまされちゃいけないぞ」
かなり警戒している天の人たちから、どうやって火をとってくるんでしょうね。
寒さでこごえている動物たち、みんなのために。
冷たい風がぴゅうぴゅう吹く森をあっためるために。


勝利を得るためには、賢い知恵が必要です。

もっと必要なものは、信頼する仲間です。

ウサギの知恵に、リスやカラスやタヌキや七面鳥やシカ…それぞれが知恵を出し合って、大きな仕事は成し遂げられました。

友だちを信じること。

いったん信じたら、ゆだねること。

だれかのためなら、すごい力を出せることも教えてくれます。



北米ネイティブ・アメリカンの「火の起源伝説」に、「なぜ動物がそうなった」というお話をプラスした、知恵がわいてくる絵本。
大切な友だちみんなが幸せになるひみつが心にきざまれます。