- ビロードのうさぎ/マージェリィ・W. ビアンコ
- ¥1,575
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大切な人と終わりがきても
『ビロードのうさぎ』
マージェリィ・W・ビアンコ/文
酒井駒子/絵・妙訳 ブロンズ新社
酒井駒子さんの絵がとても素敵な絵本です。
別の画家が描いた『ビロードうさぎ』を見たときに、絵が違うとこんなにも物語が変わって見えるのかと思ったくらい、“絵の力”を感じる絵本です。
主人公はビロードでできた、おもちゃのうさぎ。
うさぎの願いはただひとつ。
“ほんもののうさぎになりたい”ってこと。
うさぎをもらったぼうやはうさぎを大切に大切にします。
部屋の中でもお庭でもベッドでもいつもいっしょ。
ぼうやがあんまり大切にするものだから、うさぎはだんだん汚くなっていきました。
そして、最後は捨てられて、ゴミ袋の中で、うさぎは涙を流すのです。
「こんなふうに、おわりがくるなんて…」
絵本の中で、ひとりぼっちになってしまった主人公は、
ほとんどの場合、救いがあります。
大切な友だちが戻ってきたり、新しい友だちがたくさんできたり、
この絵本のような不思議な結末が待っていたり。
けれど、現実はそうとばかりはいかなくて、
去った友だちは去ったままで、ひとりぼっちはひとりぼっちのまま。
そんなことも多いのがこの世の中です。
それでも生きていれば、きっと、
天の神さまは新しい愛を導いてくださると信じたいと思います。
一瞬一瞬を大切に生きて、自分を責めないで、
幸せに思える時間を増やしていくならば。
あたたかな思いでいっぱいに、
心と体と魂とを満たしていくならば。