しあわせなモミの木/シャーロット ゾロトウ
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誰に何を言われようと貫けますか?

『しあわせなモミの木』

シャーロット・ゾロトウ/文 

ルース・ロビンス/絵

みらいなな/訳 童話屋




淡々と書かれていく物語の中に、私たちの日常を映し出すような深い知恵に心打たれることがあります。



ある町の美しい通り。

かつては、夜、階段に座って星をながめたり、笑ったり、みんなが仲良く暮らす町でした。

でも今は、お金持ちの人たちが住む通りになり、外で星を見上げるような人はいません。

そんな通りに、長く人の住んでいない空き家がありました。

引っ越してきたのは、クロケットという名前のおじいさんです。
クロケットさんは、家の前に、一本のモミの木を植えます。
葉っぱはしなびて、枝は垂れ下がり、裸も同然の枯れかけたモミの木です。
花屋さんで見かけたとき、美しい花々や緑の中で、モミの木がどんな気持ちでいるだろうと、いてもたってもいられなくなり、買ったのです。
近所のお金持ちたちは、クロケットさんが枯れた木を植えたと思い、「変わり者」と噂し合いました。

それでも、クロケットさんは淡々と、毎日水をまき、モミの木の世話を続けたのです。

数年が経ち、クロケットさんはこの通りに奇跡を起こします…。




本当に、それは“奇跡”だったのでしょうか?

誰が何と言おうと、誰に批判されようと、正しいと信じたことを淡々と、毎日続けていくこと。
それができる人は、奇跡を起こすことができると思います。

他人は簡単に、人の行いを非難します。顔をしかめて、立ち去っていきます。

奇跡とは、どんなに傷ついても、前を向いて続けてゆく者だけに与えられるご褒美。

そしてそれは、自分一人のためだけの奇跡ではなく、誰かも一緒に祝うことができる、本物の奇跡となるはずです。