杉原梨江子と一緒に読みましょ 木の絵本と森の童話-ざぼんじいさんのかきのき



















よくばりなあなたの未来がわかります
『ざぼんじいさんのかきのき』

すとうあさえ/文

織茂恭子/絵 岩崎書店




「ざぼんじいさんのかきのみは、すごくあまい。

でもね、ざぼんじいさんは、いつも、かきをひとりじめ。」

みんな、いいなあって、指をくわえてみているしかありません。

そんなある日、隣りに、まあおばあさんが引っ越してきました。

まあおばあさんがあいさつに来たとき、ざぼんじいさんはどうしたと思います?

腕いっぱいにかきの実をかかえて、かきのへたを一枚、お近づきにと渡しました。

かきの“へた”をたったひとつ。

それでも、まあおばあさんは「ありがとう、うれしいわ」とよろこんで、ニコニコわらいながら帰って行きました。

「なんで、へたが、うれしいんだ」と疑問におもったざぼんじいさんは、様子を見に出かけました。

するとなんと、かきの実のへたは、よくまわるコマに変身して、子供たちを喜ばせていたました。

子供の一人が「ぼくも同じヘタがほしいな」ということばを聞くと、

ざぼんじいさんは、木の枝からかきの実をぜんぶとって、裏の物置に隠してしまいました。

「わしのだいじなかきのきのへただ。やるもんか」って。

まあおばあさんと子供たちは、かきの実が一つもなくなったかきの木を見て、びっくり。

そうしたら、ざぼんじいさんはどうしたと思います?

今度は、葉っぱをたった一枚、差し出しました。

ところが、葉っぱは、葉っぱの首かざりに変身して、子供たちをよろこばせました。

「こうしてはいられない」と、ざぼんじいさんは、今度は葉っぱを全部落としてしまいました。次には枝を、次には……。

だいじな、だいじな、かきの木はどうなったでしょうか?




よくばりは、身をほろぼす。
よくばりは、目の前にある宝に気づかない。