新しい一歩を踏み出したいあなたに
『あの森へ』THE FOREST
クレア・A・ニヴォラ/作
柳田邦男/訳
「森ってこわいところだと、ぼくはいつも思っていた」
と、主人公の小さなねずみは言う。
つり目で黒い瞳をした、ちょっとシニカルな表情のねずみの男の子。
彼は決心する。こわくてこわくてしかたないから、森が本当にこわいところなのかどうか、たしかめてみようと。
“こわい”ものは、誰もが持っていることだろう。
けれど、そのこわいものがこれから挑戦したいものだったり、本当は手を触れてみたいものだったりするから、私たちは悩むのだ。
こわいけど見たい、こわいけど会いたい、こわいけど欲しい。
でも、でも、でも……こわいからといって、逃げてばかりいては、素敵な何かは永遠に手に入らない。
まずは一歩。暗くて深くて、こわいものがいっぱいいそうな森に足を踏み出した人だけが、新しい何かを見つけることができる。
こわいことなんて全然ないと気づいて、もっと深い森にも入ってみる勇気が湧いてくる。
あなたはどうだろう。
新しい未来という、こわい森を前にして、自ら入ってみることができるだろうか。