杉原梨江子と一緒に読みましょ 木の絵本と森の童話-バオバブのゲンバク


今、幸せなあなたに読んでほしい童話

『バオバブのゲンバク』
 木村功 他/作
 会田恵津子/絵
 汐文社



死んでしまった人を思う、9つのお話です。


伊藤真理子さんの『たずねびと』

小学校の教室で、天井まで積み上げられた死体の陰で、まだかすかに息のあるこどもがいました。枕もとには小さなおむすびが二つ、供え物のように置いてありました。

「おじょうちゃんの名前は何というの おうちはどこなの」という声が届いたかどうか…。


山根幸子さんの『約束』

「魚つりに一緒に行こう」約束をしたばっかりに、弟を原爆でなくしたおじいさんのお話。

原爆が落ちる前、広島の町で、たくさんの人が約束をかわしていたはずです。

「たくさんの約束は どこへ、いったんだろう」と、作者は問いかけます。


木村功さんの『バオバブのゲンバク』

少年、勇二がつくった、ゲンバク防空ごうの工作が発端となって、原爆、戦争、核兵器など、現代の問題が子どもたちの会話の中で考えられていきます。

防空壕で命は助かるの? 使い終わった原子力の燃料は危なくないの? どうして、原子力船が日本の港に来るの?

子どもたちの素朴な疑問をとおして進んでいく物語が、読者の心にも響いてきます。

それにしても一体、“バオバブのゲンバク”というのはなんのことでしょうね。