画家・丸木俊さんを知ってほしい絵本
『ひろしまのピカ』
丸木俊/文と絵
小峰書店
「ひろしまは、草も木も家もない、みわたすかぎりのやけ野原になっていました。
おとされた原子爆弾はいっぱつでした。
けれど、かぞえきれないおおぜいのひとがしに、そのあとでもぞくぞくとしんでゆきました」
原爆は、ピカッと光って、ドーンっと落ちたから、“ピカドン”と呼ばれています。
この絵本は、7歳のみいちゃんという女の子と、お父さんとお母さんと3人で暮らす、ごく普通の家庭で起きた8月6日朝の出来事を描いています。
絵は、洋画家・丸木俊さんと、夫の位里(いり)さんが描いた「原爆の図」です。
二人は被爆直後の広島に入り救援活動をしました。それから生涯、原爆の絵を描き続けた画家です。やがて、「沖縄戦の図」を描き、「アウシュビッツの図」を描き、戦争の残酷さ、非人間性をすさまじい絵に残しました。1995年には夫妻でノーベル平和賞の候補にもなりました。
丸木さんの絵に、理屈はいりません。
1945年8月6日、幸せな朝食の風景が、一瞬で火の海と化した地獄は、私たちも決して、忘れてはいけない歴史の真実です。
「ピカは、ひとがおとさにゃ、おちてこん」という、みいちゃんのおかあさんの言葉が、強烈な事実として、私たちの胸に迫ります。