おばあちゃんが大好きなあなたに
『キャラメルの木』
上條さなえ/作
小泉るみ子/絵 講談社
キャラメルがいっぱいなる木。
枝という枝に、キャラメルがなって、好きなときに食べられる。
甘くて、舌がとろけそう。
そう、夢見た男の子は、戦争で食べる物がなくなったころ、
おなかをすかせて、病気になって、死にました。
遠い昔、布団に横たわる弟の苦しそうな顔を
思い浮かべながら話すおばあさんと、その話を聞く6歳の男の子。
やがて、枝いっぱいに、キャラメルは本当に実ったのです。
人のやさしさと、嘘が
愛する人を奪っていく戦争の残酷さを浮き彫りにしていきます。
「おばあちゃんの ことばが コトリと 音を
たてて、ぼくの こころに おちて きた」
現代に生きる、死から遠い、小さな男の子の心の中にも
死は、強烈な痛みとなって伝わっていきました。
おばあさんやおじいさんの世代の人たちが
戦争の悲しみを乗り越えてきた人々であることを、
もう一度よく、思い出したい一冊です。