原爆の日に読んでほしい絵本
『アオギリのねがい
被爆アオギリ二世物語 』
広島平和教育研究所/発行
アオギリは広島県平和公園のなかに立っています。
淡い緑色の幹に、手のひらのような大きな葉っぱが茂る美しい樹木。
葉の形が桐の葉に似ていて、樹皮が緑色をしていることから、名前がつけられました。
被爆樹の象徴とされる、このアオギリの木が実際に体験したことを描いた絵本です。
原爆に会うまで、アオギリは心地いい木陰をつくり、
人々は樹木の下に座って本を読んだり、散歩したりと、
戦時中のわずかな穏やかなひとときを人々とともに送っていたのです。
しかし8月6日、アオギリは一瞬で黒焦げになり、幹が半分に避け、
一枚板のようになってしまったと伝えられています。
写真は被爆の名残りが幹に残っている様子です。
原爆が落とされた土地には75年間、
草も樹木も生えないだろうと言われました。
けれど、このアオギリは目を覚ましました。
被爆翌年の春のことです。
もう死んだと思われていた樹木から新しい芽が出ました。
真っ黒い炭のような、えぐれた幹から小さな小さな芽が一つ、二つ・・・・・・次々と。
やがて、実をつけ、種を落とし、赤ちゃんアオギリがたくさん生まれました。
どんなに傷ついても再生する樹木の生命エネルギーに
人々はそれぞれの人生の復活を重ねたのでしょう。
アオギリの赤ちゃんたちを“平和の種”と呼び、
「被爆アオギリ二世」として日本各地の小学校に配られ、元気よく育っています。
アメリカ、スイス、エジプト、ドミニカ共和国、中国、イギリスにも寄贈されています。
★絵本に登場する木
アオギリ(青桐)/アオギリ科・落葉高木