『おおきな木のような人』
いせひでこ 文と絵
ジョルジュ・メテリエ 監修(人類植物学者)
講談社
「人はみな心の中に、一本の木をもっている。」
絵本に書かれた一文です。
大きな木と出会えば、木はわたしを、記憶する。
わたしは木のことを、記憶する。
ひまわりの種を蒔けば、ひまわりはわたしの心の中にしっかりと根を下ろす。
わたしはひまわりのいのちの力を受けとめて、大地に根をはる。
250歳のプラタナスの木。
400歳のアカシアの木。
日の当たるところで大きく育ったメタセコイアと
木陰のところで小さく育ったメタセコイア。
天使の羽根のような、3300万年前の木の化石。
やわらかな陽射しが注いだような、やさしくつよい木の絵。
絵本を閉じるとき、しずかに、光の涙が流れてきました。
わたしたちより遥かに長い歳月を生きる木のいのちが、
いつもそばにあることを幸せに思います。
舞台はフランスにある実在の植物園。そこで、世界中の木と人々との関係を研究する植物学者と、
日本からやってきた女の子、さえらの物語。