『つばめの恩返し』

 高津美保子・文

『あたまにさくら』(国土社)に収録

 

ひとり暮らしのおじいさん。

ある日、ごはんを食べて、縁側で休んでいたら、つばめがケガをして落ちてきました。

かわいそうに思ったおじいさんは、薬をつけて、包帯をして、介抱してあげました。

やがて、元気になって飛び立っていったつばめ。

翌年、戻ってきたつばめがおじいさんにくれた贈り物はなんだったと思う?

それはね、真っ黒い、大きなつぶ。

空から、おじいさんの頭の上にぽてーんと落としていったのです。

よく見ると、大きなスイカの種でした。おじいさんは早速、種を植えて、一生懸命に育てました。

やがて、大きな大きなスイカがひとつ、できました。

おじいさんがスイカを切ると、中からぽんぽん飛び出してきたのは!?

恩返しの民話はたくさんありますが、こんなにかわいくて、役に立つ贈り物のお話はなかなか見かけたことがありません。

不思議なスイカの種、つばめはなんて粋な贈り物をしてくれたことでしょう。



素直に生きて、目の前に困っている人がいたら、すっと手を差し伸べられる。
そんな人間には思いもかけない素敵な贈り物が届けられるのです。