『あたまにさくら』
松谷みよ子、吉沢和夫・監修
望月正子・文 国土社
少し前に、『あたまにかきの木』という絵本を紹介しました。
この本はその桜の木バージョンです。
日本にはほとんど同じ内容のお話なのだけど、登場する動物が違ったり、草木が違ったりと、ちょっとした違いがある民話がたくさんあります。
ほんの少しの違いで、言葉はまるで違う展開へと進んでいくからおもしろいのです。
この『あたまにさくら』。柿の木が桜になって、物語もほとんど一緒。
けれど、ラストが全く違いました。
頭に柿の木がはえた男は、好きなお酒を飲みながら、毎日を暮らしていきますが、
頭に桜の木がはえた男は、最後、自殺してしまうのです・・・。
楽しい、ノー天気な話の展開からは想像もできないシュールな結末。
受けとる出来事は同じでも、
心のもちようをまちがえば不幸は訪れる。